育児休業制度の改善へ米20社が「公約」、競合する各社が協調

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女性の仕事への満足度と直結

女性の労働環境の改善を目指すフェアリーゴッドボス(Fairygodboss)によると、女性の仕事に対する満足度は、有給の育児休業がどれほど認められるかという点と直結している。給付額が高いほど、仕事への満足度は高まる。

多くの企業は最近、育児休業制度の改善に乗り出している。今回の「公約」は、それに足並みをそろえたものだといえる。ただ、観測筋には、「優秀なミレニアル世代の若者を取り込むため、非常に多くの企業がこの問題で“競い合って”いる」との見方もある。

フェアリーゴッドボスによれば、ここ一年半ほどの間に育児休業制度の大幅な改善を公に表明した大企業は、少なくとも30社に上る。公にはしなくても、同様の変更を行った企業は他にも多数あるだろう。

そうした中でも依然として、競合する部分のある数多くの他社から賛同を得て、協調してこれを実行に移したという点で、アストゥが掲げた公約は注目に値する。これらの企業は公にこの問題に関する方針を表明したと同時に、男女平等の推進においても大きな前進を果たしたことになる。

「公約」は育児休業の取得者について「男女を問わない」とするなど、ただ表面的に男女平等を掲げているだけといえるかもしれない。だが、それでも女性の働き方に前向きな影響を与えることになるだろう。出産に伴い、自身のキャリアに大きな犠牲を払うのは大抵の場合、女性だからだ。

今後への期待

プロジェクトに参加した企業の中で今後、「公約」が女性の昇進にどのような影響を及ぼしていくかはまだ分からない。明らかになるのは少なくとも、数年後のことだろう。

しかし、すぐにも恩恵を受ける可能性がある従業員の数は、3,200人を超えるという。育児休業制度のない企業で働く女性は、米国内におよそ数百万人。それに比べれば少ない人数だが、米政府がその他の先進国と同様に育児休業給付を制度として導入するまで、民間部門のこうした努力は大きな前進であり、称賛に値することだといえる。

編集 = 木内涼子

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