調査会社ニューズー(Newzoo)では、2016年にモバイルゲーム業界の売上は21.3%増加すると推定(ゲーム業界全体の成長率は8.5%と推定している)。市場シェアでPCゲームを上回るとみている。統計調査会社スタティスタ(Statista)は、アメリカにおけるモバイルゲームのダウンロード売上は2013年の9.1億ドル(約959億円)から2016年には13.2億ドル(約1,391億円)に増加すると推定している。
アクティビジョン・ブリザード(Activision Blizzard)、エレクトロニック・アーツ(Electronic Arts)とテイクツー・インタラクティブ(Take-Two Interactive)はいずれも2016年、ゲーム市場で競合他社を圧倒。3社の株価は7月11日からの週にこれまでの最高値を更新した。
「コール・オブ・デューティー」「ワールド・オブ・ウォークラフト」や「ディアブロ」など人気家庭用ゲームのメーカーであるアクティビジョンは、2月に「キャンディークラッシュ」のメーカー、キングデジタル(King Digital)を59億ドル(約6,221億円)で買収。アクティビジョンの株価は年初来8.7%上昇している(S&P500の年初来上昇率は5.3%)。
「スター・ウォーズ」シリーズや「マッデンNFL」などのゲームを販売しているエレクトロニック・アーツ(EA)は、モバイル部門の売上について、前四半期比で一貫した増加を記録。モバイルゲーム部門の売上高は2016年度第4四半期(1~3月期)、前年同期比15%増加した。調査会社アップアニー(App Annie)によれば、2015年にアンドロイドおよびアップル上で最も多くダウンロードされたのが、EAのモバイルゲームだった。同社の株価は年初来12.9%上昇している。
テイクツー・インタラクティブは3月末で終わった2016年度の収益が前年度比31%を記録。人気ゲーム「グランド・セフト・オート(GTA)」シリーズや「WWE(世界レスリングエンターテインメント)」シリーズのメーカーだ。「GTA:リバティーシティー・ストーリーズ」やタブレット&スマホ向け「WWEスーパーカード」などのモバイルゲームには、それらの一部知的財産を活用している。「WWEスーパーカード」は1,000万回以上ダウンロードされており、同社の無料モバイルゲーム(基本プレイ無料、アイテム課金)の中で最も経済的成功をおさめた作品。同社の株価は年初来13%上昇している。
とはいえ、今のところ最大の“勝者”は任天堂だ。アメリカでの「ポケモンGO」のリリースを受けての株価上昇で、同社の時価総額は数十億ドル増加した。だが実際に同社が「ポケモンGO」でどれだけの利益を得るのか、同ゲームにどれだけ人気を維持する力があるのかについては疑問視する声もある。
ビデオゲームメーカー各社にとって、モバイルゲームは明らかな“台頭勢力”であり重点を置く成長分野だが、従来型のゲームプラットフォームも依然として十分な存在感を維持している。任天堂の株価は14日、さらに15%上昇したが、少なくともその一部は、昔を懐かしむゲーマーたちにとって嬉しいニュースが理由となった。任天堂エンターテインメント・システム(海外版ファミコン)の小型版に30種類のソフトを内蔵したものが、11月に発売されるということだ。