私は同僚のジョー・フォークマンと共に、人々がどれくらいフィードバックを恐れているかを測定する基準をつくった。測定結果を分析して分かったのは、フィードバックを恐れる人々は、上司や先輩に自分の仕事ぶりが悪いと受け止められることや、ミスを理由に叱責されることを恐れているということだ。上司がフィードバックを述べようとすると、彼らは自動的に、それが悪い評価だと思い込む。さらに悪いことに、フィードバックを受けることで、いかなるミスも回避しようと仕事に対して慎重になりすぎてしまうと彼らは言う。また彼らは、ほかの人にフィードバックを述べるのを回避したり、ほかの人を褒めるのを控えるということだ。
5,000人以上の測定結果を分析した結果、全体の12%がフィードバックに対して強い恐怖を抱いていることが分かった。その中で比較すると女性の方が男性よりも(女性14%、男性10%)、また年齢ではより若い従業員の方が(25歳以下が25%、60歳以上がわずか8%)フィードバックを恐れる傾向にある。役職で見ると、組織の上の方の立場になるほど恐怖心は薄くなる。とはいえ、最高幹部でさえも7%がフィードバックを恐れていると認めている。
これに関連した調査で、私たちは組織のリーダーがどの程度、他者からのフィードバックを求めるのか、そしてそれを受け入れるのかを測定した。360人(リーダーではない人々)の評価を分析したところ、リーダーの“進んでフィードバックを求め、それを基に行動を起こす意欲”と彼らの“リーダーとしての総合的な有効性”には、極めて強い相関関係があるという結果が示された。
同調査では、5万1,000人以上のリーダーについて分析。すると“フィードバックを求め、それを基に行動を起こす意欲があるか否か”についてきわめて評価の低いリーダーは、リーダーとしての総合的な有効性も12%という評価だった。一方でフィードバックを進んで受け入れるリーダーのトップ10%は、総合的な有効性も90%と評価された。リーダーたちが絶えずフィードバックを受けることで、より優れた指導力を学んでいくことが、はっきりと見て取れる。対照的に、フィードバックに反発するリーダーたちは自分の思い込み(これが間違っていることが多い)をベースに変革を行うか、一切変革を行わない。