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2016.07.23

中国、インドが大躍進 アジア経済を支える富豪トップ100

VCG / Bloomberg / gettyimages

フォーブス アジアが初めて発表したアジアのビリオネアランキングの上位100人を見ると、中華圏の存在感が際立った。中国本土が30人と最多、これに香港の18人、台湾の3人を合わせると、過半数を超える。さらに、マレーシアやインドネシア、フィリピンなど東南アジア諸国の富豪たちの顔ぶれを見ても、華僑が多いことがわかる。

一方、中国勢についで多いのが、インドの14人だ。アンバニ財閥のムケシュ・アンバニを筆頭に、ムンバイには多くの富豪が集まる。アジアの急成長に支えられ、資源バブルに沸くオーストラリアは、鉱山業のジーナ・ラインハートの躍進が目立った。

富豪の中には親から資産を受け継いだ人もいるが、多くは一代で財を築いた起業家たちだ。香港の大富豪、李嘉誠や李兆基も、かつては貧しい移民家庭で、豊かな食卓を夢見た子供だったのだ。


注目すべき15人とランキング100を紹介する。

1位. 王健林(ワン・ジエンリン)61歳、中国、業種:不動産、資産:287億ドル

王健林は商業施設やホテルを運営する大連万達グループの社長で、中国の不動産王として知られている。同社は今年1月、35億ドルを投じて米映画製作会社を買収。12年にも米映画館チェーンや、15年にスペインのサッカーチームに出資していた。

2位. 李嘉誠(リ・カーシン)、87歳、香港、業種:多角経営、資産:271億ドル

香港で最も裕福な男、李嘉誠はプラスチックの造花で財をなし、不動産、通信、流通などを手がけるコングロマリットの経営者に。29万人を雇用しており、アジアで最も影響力のある経営者の一人。今回は株価の下落で、総資産が過去4年間で最低水準となった。

3位. 李兆基(リー・シャウ・キー)、88歳、香港、業種:不動産、資産:215億ドル

香港の長者番付2位の李兆基は、貧しい家庭に生まれた。肉や魚を口にできるのは月に2回だけという少年時代が、上昇志向を育てたようだ。現在は不動産、エネルギー、投資などのコングロマリットを展開。近年はフィランソロピーにも力を入れる。

5位. ムケシュ・アンバニ、インド、資産:193億ドル

インドの大富豪、ムケシュ・アンバニは、インドの財閥であるリライアンス・グループの会長であり、筆頭株主。父親が創業した同社を、繊維メーカーから巨大な石油化学メーカーに成長させた。情報通信業や、小売業にも進出、事業の多角化を進める。過去にはムンバイに総工費約10億ドルを投じて建設した地上170m、27階建ての豪邸で世界を驚かせた。

13位. 施至成と一族(ヘンリー・シー&ファミリー)、フィリピン、資産:129億ドル

フィリピンの長者番付1位の施至成は、幼少期に家族とともに中国からフィリピンに移住し、貧しい少年時代を送った。靴店「シューマート」を創業し、のちに「SM」に名称を変更。現在はショッピングセンターや百貨店へと業態を変え、同国内に200店舗以上を展開。小売業と不動産業を主業とするSMインベストメンツは、小売と不動産の他、銀行も保有している。

22位. ジーナ・ラインハート、オーストラリア、資産:88億ドル

オーストラリアの長者番付1位、ジーナ・ラインハートは、父親から鉄鋼会社ハンコック社を受け継ぎ、低迷していた事業の再建と拡大に成功した。アジアの急成長に伴う資源バブルも、ハンコック社の成長を後押しした。ジーナは鉱山業のほかにも、テレビ局や、和牛の農場などを保有しているほか、スポーツ選手の支援にも力を入れている。

32位. アナンダ・クリシュナン、マレーシア、74億ドル

マレーシアの富豪、アナンダ・クリシュナンは昨年、通信大手マクシスの株価が下落し、資産額を減らした。また、アメリカの有料動画配信サイト、ネットフリックスがマレーシア市場に参入したことで、同氏が保有する有料テレビ会社アストロ・マレーシアの株価も打撃を受けた。クリシュナンはハーバード・ビジネス・スクールを卒業。タイに僧侶の一人息子がいる。
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編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.24 2016年7月号(2016/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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