“Make Mistakes Early”
実は、柳井正と孫正義には共通の「原体験」がある。柳井は幼いときから父親に「何でも一番になれ」と叱咤されて過ごしたという。一方の孫も子供のころから父親に「日本一の男になれ」と繰り返し言われ続けた。就職したらトップになるどころか一番の下っ端からのスタートになる。彼らが事業を起こそうと考えるのは当然だったのかもしれない。
2人の共通項を探っていくと、それは起業後にも表れる。それは「失敗力」だ。
自ら「1勝9敗だからひとつの成功に深みが生まれる」と言う柳井は、実は失敗の名人でもある。例えば、爆発的なフリースブームの後に訪れた減収減益の時代にオーガニック野菜を販売する「エフアール・フーズ」を手がけたが失敗し、すぐに撤退している。失敗なら孫も負けてはいない。ITバブルがはじけた直後、ソフトバンクの株価は100分の1にまで下落した。そんな折、アメリカのITニュースサイトに500億円超を投資して大失敗、すぐに撤退を余儀なくされた。
そんな彼らの経歴から学べることは何か。くだけた言葉でいえば、「チャレンジしなけりゃ始まらない。リスクをとらねば報われない」という、言い尽くされた言葉に立ち返る。
ランキング5位の三木谷浩史はかつて講演でこんなことを話したことがある。
「楽天を創業する前、私はパソコン教師、地ビールなどなど200も300も新しい事業を考え、その中のいくつかをやってみたが、皆駄目になりやめた。米国で言う“Make Mistake Early(早く失敗をせよ)”に徹しないといけない。それを経て、成功のパターンが出てくるのです」
リスクを冒してチャレンジする。この道を踏み外して、億万長者の道はない。