同社のジェイミー・ダイモンCEOは同日付の米紙ニューヨーク・タイムズに掲載された寄稿の中で、「賃上げは行うべきもの」「多くの米国人の賃金は、あまりに長期間にわたって据え置かれてきた」と述べた。
賃上げの対象となるのは、大半が銀行の窓口と顧客サービス担当の従業員。フルタイムではない就業形態の従業員も対象とする。“地域ごとの市場要因”を反映したものになるため、就業する場所によって賃金は異なるが、各地の生活費に応じて今後、新たな時給を設定するという。
例えば、ニューヨークやサンフランシスコでは時給16.50ドル、シアトルや首都ワシントンは同15ドルとする考え。これにより、従業員の約90%が就業する地域では、最低賃金が時給13.50ドルとなる。ただし、実際には来年2月からの段階的な実施となる見通しだ。
賃上げは企業の利益に
ニューヨークに拠点を置き、世界各地に23万5,000人余りの従業員を擁するJPモルガンのダイモンCEOは、昨年の年収が2,700万ドル(28億1,950万ドル)。
そのCEOは従業員の賃上げについて、「今すぐ実施することはできない企業もあるのは確かだ」と述べる一方で、「どのような方法であれ、企業は自らと関係する全ての人たちにとって最善と考えられる方法で、自らの役割を果たすことができる」との考えを示した。
CEOが指摘するとおり、賃上げは企業にとって良いことだ。賃金面での条件が改善されつつある中で、労働力を引き付け、維持することにつながるからだ。
ダイモンCEOは同時に、JPモルガンの最低時給は現在でも、全米の最低賃金より3ドル高いことを強調。時間給従業員も、健康保険をはじめとする福利厚生制度の対象としていることを“宣伝”した。
スターバックスも賃上げを検討
所得の不平等は、全米規模で議論となっている問題だ。多くの州が、最低賃金引き上げを求めている。
そうした中で、企業の側も多くが時間給従業員の賃上げを検討しているもようだ。コーヒーチェーン大手のスターバックスは11日、少なくとも5%の引き上げを計画していることを明らかにした。