バドワイザーは人気アーティストのフロリダ・ジョージア・ラインやトーマス・レットたちとも、スポンサー契約を結んでいる。昨年3,650万ドル(約36億6,700万円)を稼ぎ、フォーブスの「最も稼いだカントリーアーティスト」に選ばれたフロリダ・ジョージア・ラインは、“ゲストバーテンダー”としてファンにビールを注ぎ、ビール愛を語った。
メンバーのブライアン・ケリーは「僕らは大のビール党で、バドワイザーは一番好きなブランド。この取り組みが本物であることをファンも理解している」と言う。トーマス・レットも「バドワイザーとカントリー音楽には共通点が多い」と言う。
「両方とも昔から身近にあり、メイド・イン・アメリカ、ハード・ワーク、本物を象徴するもの。まさに自分がアーティストとして表現しているものだ」
地元志向のミレニアル世代にアピール
experience(体験)とAuthenticity(本物)――バドワイザーのマーケティング戦略はこの2つのバズワードに集約され、さらに「ローカル」というキーワードが加わる。地元志向の若者の支持を得ることで、この10年間で2ケタの売上成長率を記録しているクラフトビールからシェアを取り戻す狙いだ。
バドワイザーは「バドワイザー・カントリー・クラブ」単体に100万ドル(約1億円)以上を費やしている。同社のフェス費用の総額を、仮に250万ドル(約2億5,100万円)と見積もった場合、今夏の4つのフェスで計7万人が「バドワイザー・カントリー・クラブ」を訪れると、来場者1人あたりのコストは35ドル(約3520円)。決して安い広告費ではない。だが、フェス参加者との結びつきが確かなものになれば、長期間にわたって売上を伸ばせるかもしれない。
バドワイザーがミレニアル世代のNo.1ビールになれるかどうかは、現時点では不明だが、昨年、アンハイザー・ブッシュ社はコカ・コーラ社を抜いて飲料業界最大の音楽スポンサーとなった。他のビールメーカーとの比較では、ミラークアーズ社の2.6倍、ハイネケン社の3.6倍に当たる金額を音楽イベントに投入している。
「バドワイザー・カントリー・クラブ」は同社がこの夏に展開する「アメリカ・イズ・イン・ユア・ハンズ」キャンペーンの一環だ。年商109億ドル(約1兆950億円)のバドワイザーのブランド価値は234億ドル(約2兆3,500億円)と推定され、フォーブスの2016年版「世界で最も価値のあるブランド」で、25位にランクインしている。