それでもアメリカでは、休暇という概念が絶滅しかけている。全米旅行産業協会の休暇奨励イニシアチブ「プロジェクト・タイムオフ」が米労働者を対象に行った調査によれば、2015年には回答者の55%が、未消化の休暇があると回答。その日数は合計で6億5,800万日にのぼった。
労働者に疲れが溜まれば、組織の生産性も人材維持率も下落する。“休むこと”はますます、私たちにとって必要なこととなっている。
ハーバード・ビジネスレビュー誌では最近、実業界のリーダー180人以上を対象に調査を実施。すると回答者の43%が、少なくとも週に4日は睡眠が足りていないと回答した。休息が足りないとミスについてくよくよ悩んだり、軽率な決断を下しがちになる。
同誌では、完全に仕事から離れた休暇の取得や労働時間の上限設定を義務付けるよう促している。筆者もそれには大賛成だが、罪悪感を覚えることなく快適に休暇を過ごせるようにするには、休暇のあり方を見直す必要がある。
健康増進と生産性向上のため、仕事をしていないことへの罪悪感を軽減し、休暇を最大限に活用するための意識改革法をケース別に紹介する。
ケース1:休暇を取るのは弱い人だけ。私は休まなくても頑張れる。休んだら私も弱いということになるのでは?
対策:こう考える人は多いが、これは明らかな誤りだ。賢い人々は、仕事から離れる時間が心と体を活性化させてくれることを知っている。“休みたい自分をばかにする内なる声”が聞こえた時は、心の中でこう言って対抗しよう。
「私は生産的でいられることに価値を感じているが、それが常に可能なわけでも健全なわけでもない。休んだからといって、自分の価値観を曲げることにはならない。私は自分にとって最善のことをしているのだ」