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2016.07.13

チャイナマネーはハリウッド映画をどう変えたのか[富豪のトリビア45 -Part4]

映画『トランスフォーマー/ロストエイジ』の上海プレミア(2014年6月/中国・上海)

富豪たちはいかにして巨万の富を手にし、何を考え、どう使うのか。大金持ちの生態を解き明かす「45のトリビア」を、12回に分けて紹介する。第4回は「アジア」におけるお金持ち事情について。

Q チャイナマネーはハリウッド映画をどう変えたのか?

ハリウッド映画界にとって中国市場は、その映画人口の多さからいって重要な存在だ。長年ハリウッドを悩ませてきた海賊版問題も3D映画の普及によって(3Dだと海賊版が作りにくい)クリアし、多大な収益を上げるようになると、中国サイドもハリウッド映画を投資対象と考え始めた。大作主義がエスカレートし資金集めに苦慮していたハリウッドと、投資先を考えていた中国富裕層のニーズが一致したといえる状況だ。

やがて『トランスフォーマー/ロストエイジ』(2014年)や『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15年)などに中国(香港)資本が参入。16年1月には『ダークナイト』や『パシフィック・リム』などの製作会社レジェンダリー・ピクチャーズが中国の大連万達グループに買収されるという事態にまで至った。

当初、出資映画はエンタメ超大作に限られ、内容面でも中国ロケを行う、中国系俳優をキャスティングする、といった歩み寄りがあった。

だが、最近では『レヴェナント:蘇えりし者』や『サウスポー』(共に15年)といった、明らかに中国市場向けでない作品にも中国資本が流入。純粋に投機対象と見ているようで、新しいフェーズに入ったといえるのかもしれない。(映画ライター・紀平照幸)

Q ヨーロッパのサッカーリーグに投資しているアジア人投資家は多い?

今年、イングランドのプレミアリーグで奇跡の優勝を遂げた「レスター・シティFC」は、オーナーがタイの大手免税店「キングパワー」のヴィチャイ・スリヴァッダナプラバCEOであることが話題となった。

イングランドで2部の「クイーンズ・パーク・レンジャーズFC」は現在、マレーシアの「エアアジア」CEOのトニー・フェルナンデスとインド人で世界最大の鉄鋼メーカー「アルセロール・ミタル」CEOのラクシュミ・ミタルとがオーナーとなっている。

リーガエスパニョーラについては、中国では大連万達集団の王健林が、スペインの「アトレティコ・マドリード」に資本参加しているほか、「バレンシア」にはシンガポール「メリトン・ホールディングス」のピーター・リムCEOがオーナーとなっている。

イタリアでは、ACミランをアリババのジャック・マーが狙っているといわれていたが、王健林が有力視されている。「インテル」は、インドネシアのコングロマリット「マハカ・グループ」のオーナー、エリック・トヒルが70%を出資している。
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文 = Forbes JAPAN

この記事は 「Forbes JAPAN No.24 2016年7月号(2016/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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