しかし、好調だった中国経済の成長鈍化と世界経済の停滞が、2年連続で台湾の経済と富裕層に打撃を与えた。台湾の株式市場は2015年に10%近く下落。通貨も対ドルで価値を4%下げた。
さらに、今年1月の総統選挙では独立志向の強い民主進歩党の蔡英文(さい・えいぶん)が総統に選出されたが、これも中国本土とのさまざまな貿易・投資協定の今後にとって、明るい材料とはいえない。
台湾の2016年長者番付トップ50人の総資産は、1年前より13%少ない1,024億ドル(約10兆3,350億円)となった。上位30人が資産を減らしたことが響いたといえる。50位の資産額も、昨年の8億9,000万ドル(約898億2,640万円)から8億5,000万ドル(約857億8,930万円)に減少した。
最も大きく打撃を受けたのはリストの上位に入った富豪たちで、10人のうち8人の資産は合わせて106億ドル減少した。また、今回のランキングに入った女性は一人のみ。台湾の富裕層の間には、驚くほどの男女格差があることが浮き彫りになった格好だ。
首位は前年と同じ蔡兄弟
番付の1位に輝いたのは、2015年に続いて蔡明忠(さい・みんじょん)と蔡明興(さい・みんしん)の兄弟だった。中国本土の経済環境の悪化により、二人が率いる金融大手、富邦金融(フーボン・フィナンシャル)の株価が下落。20億ドルを失ったものの、首位を維持した。
最も資産を減らしたのは、食品大手の康師傅(カンシーフ、英語名ティンイー)を率いる魏(ウェイ)兄弟だった。株価が50%下落したことで、資産は29億ドル減少した。