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ボーイング社によれば、2013年の航空機調達額約12兆円のうち1割が「日本マネー」という。しかも、約8,000億円が「節税マネー」と推測されている。

どういうことかというと、案件により投資利回りには差があるが、航空機リースは節税効果が高い。まず、リースのためのSPCをタックスヘイブンに設立して、投資家たちが出資をする。航空機を購入して、リース料と最終的な売却代金を利益とする。

購入当初は減価償却費が多額になるので出資企業の利益が減り、法人税を減らすことができる。また赤字幅を大きくして会社の評価株価を下げ、相続税を抑えることもできる。すでに三井住友フィナンシャルグループは世界第3位の航空機ファイナンス会社であり、オリックスや三井物産も事業を拡大している。

2030年にはLCCを中心に4万機が必要と見込まれているため、成長が期待されている。しかし、この航空機リースに目をつけたのが、国税庁だった。

「租税負担の軽減を目的とした減価償却制度の濫用であり、減価償却の対象にはできない」という見方をした国税当局は、01年以降、航空機リースの投資家たちに申告漏れを指摘し、追徴課税を行った。これを不服とした投資家たちが裁判に訴え、05年、名古屋高裁は追徴課税を取り消す判決をくだし、最高裁も高裁の判決を支持。国税庁の敗訴が確定した。

同じく船舶リースについても国税当局は、「減価償却の対象として認められない」としたが、こちらも裁判で国税の敗訴が確定している。

14年、公益社団法人リース事業協会は航空機リース事業について、「積極的な事業活動を行っている会社については、タックスヘイブン対策税制の適用外にすべき」といった旨の提言をしている。タックスヘイブンに設立した会社に合理的な事業目的があるかどうかで、当局と納税者の間に意識の差が生じているのだ。

同じく、国税当局が「課税逃れ」と目をつけたものに、タックスヘイブンに設立された「キャプティブ保険」がある。これは「自家保険」と呼ばれるもので、大手企業を中心に80年代以降増えていった。実際に携わった人物はこう説明する。

「バミューダ諸島やイギリスのドーバー海峡にあるガーンジー島などのタックスヘイブンが保険のメッカです。日本の自動車メーカーや航空会社、旅行代理店、プラントメーカーなど大手企業は、毎年、損害保険会社に億単位の莫大な保険料を払っています。そこで、自分たちで再保険会社を設立して、損保から自分たちの保険を引き受ける。簡単に言うと、右のポケットから保険料として出ていった損金扱いのカネを、再保険会社をつくることで左のポケットに戻して自己プールする。事故の際は自分たちで保険金を払わなければならないリスクを負いますが、その方が効率的という見方から広まりました」

近年はミクロネシアもキャプティブ保険の呼び込みに積極的で、キャプティブ設立のためのインフラ整備を急速に進めている。しかし、国税当局は日本企業が設立したガーンジー島のキャプティブ保険に目をつけた。この再保険会社がガーンジー島に納めた法人税は、タックスヘイブン対策税制を適用して、親会社が日本国に払うべきだと指摘したのだ。

これは「ガーンジー島事件」と呼ばれ、訴訟になった。09年、最高裁により国税側の敗訴が確定した。

文=藤吉雅春、船木春仁

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