ロボットの開発元はエストニアのスタートアップ企業、スターシップ・テクノロジーズ(Starship Technologies)。スカイプの共同創業者アーティ・ヘインラとヤヌス・フリスが創設した同社のロボットは、全長約61センチ。人間の歩くスピードで移動し、道路を渡り、客が注文時に受け取ったアクセスコードを入力しないと蓋が開かない仕組みだ。
ジャスト・イートはスターシップと6台のロボットを運用する契約を結び、ロンドン中心部で提携レストランの出前業務を行う。顧客のほとんどは比較的余裕のある層で、自宅から夕飯を注文することが多い。
宅配コストは130円程度に
スターシップは2015年からロンドンやベルリン、そしてエストニアの首都タリンで出前ロボットの試験運用を行なっており、ドイツの宅配業者Hermes、小売業のメトロ(Metro)、ロンドンの出前スタートアップのプロント(Pronto)などとも交渉している。同社のロボットは全自動ではない。タリンとロンドンのオフィスでスタッフがモニターしており、路上の障害物に遭遇した場合にはスタッフが回避させている。
ジャスト・イートのデビッド・バットレスCEOは、1回の宅配コストは1ポンド(約131円)以下になると見ている。「何千軒というレストランの宅配を担えるスケーラビリティがあると思ったからこそ導入したのです。大規模な運用を考えています」と語る。
同社は業務委託しているドライバーを動員して、6万4,000件のテイクアウト店の配達業務を請け負っている。バットレスは「ロボットがドライバーの仕事を奪うことはない」とし、レストランに注文が殺到するピーク時にサポートする役割を担うと述べた。
待機ステーションの設置も視野に
バットレスによるとロボットは当初個々のレストランに配置されるが、様々なレストランの宅配に対応できるように、今後はジャスト・イートが待機ステーションを運用する。参加レストランのリストは近々公表するという。
スターシップは、ロボットが配達中に盗まれることはないと考えている。重さは約18キロ以上で、周囲360度を見渡せるカメラを搭載しているからだ。ロボットは9か月間のテストで5,000マイル(約8,050キロ)近くを走行し40万人以上に遭遇したが、一度も事故を起こさなかったという。