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2016.07.08

本物の中国人富裕層をうならす、日本人も知らない「日本の旅」

江戸中期につくり酒屋として財をなした旧杉山家住宅。町割りの一角を占める屋敷内には、主屋や酒蔵、土蔵などが連なる。


その意味では中国の大半の富裕層旅行の内実はクラシックモデルに属するといえる。ただし、水谷がそれだけではないと思うのは、富田林の歴史的価値に気づくような深い洞察力を持ち、日本の姿を真剣に見てみたいという人たちが確かにいるからだ。

「彼らはほんの上澄みにすぎない。だが、それだけに自分の仕事はやりがいがある」

ある国営銀行の頭取夫人は、中学を卒業したばかりの息子を連れて日本へ旅行に来たとき、水谷の案内で富田林と高野山を訪ねた。夫人は「米国留学の決まった息子に、中国と違う日本を一度見せておきたかった」と語ったという。

いま、中国の富裕層の人たちの中にも、富田林訪問に象徴されるような、精神的価値に重きを置くニューモデルの旅が現れつつある。

水谷浩◎1980年代、北京と上海に留学経験があり、現地に広い人脈を持つ。2014年4月、中国客の手配を行う彩里旅遊株式会社を設立。

文=中村正人 写真=佐々木 康

この記事は 「Forbes JAPAN No.24 2016年7月号(2016/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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