新任リーダーの円滑な受け入れ、秘訣は「利己心と恐怖心と愚かさ」の認識

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「利己的に考えつつ思いやりをもって対応し、人間生来の恐怖心をコントロールし、物事を簡素化する」──ダン・グレゴリーとキーラン・フラナガンは著書「Selfish, Scared & Stupid(利己的で怖がり、そして愚か)」を通じて、「生き残るために進化してきた人間の脳は今でも、私たちの意思決定に影響を及ぼしている」と説明する。

新しいリーダーを迎える組織は(自らの)人間性と闘う代わりに、利己的で恐怖心を持ち、愚かな者たちを容易に受け入れられるようになるための体制を整える必要があるのだという。

利己心

新たなリーダーとして組織に加わるとき、その人が理解しておかなければならないことは、誰も自分のことなど気にはしていないということだ。

ほかの皆が気にしているのは、新しいリーダーが自分たちのために何をしてくれるのか、あるいは自分たちに対して何をするのか、ということだ。

一方、企業が新任のリーダーを受け入れる際にはまず、その人が必要なものを手にし、快適に仕事ができる環境を提供する必要がある。その状況があって初めて、その人は組織のために十分な働きをすることができる。着任するリーダーが組織になじむことができるよう、支援することも必要だ。

恐怖心

著者らは、「恐怖心は人間が持つ最も強い感情だ」と指摘する。リスクを回避し、生き残り、そして命をつないでいくために、人間の脳が自らに組み込んだ感情だ。心臓発作や人生を変えるような出来事の後に、生活習慣を変えた人たちがどれだけいるだろうか。それは、同じことを繰り返す恐怖心がなせるものだ。

恐怖心には、さまざまな種類がある。行動を起こす恐怖、起こさない恐怖。そして、取り残されること、失敗すること、成功すること、変化することに対する恐怖──。

どのような定義に基づいて考えても、新任のリーダーを迎えることには変化が伴う。そして、変化に対する恐怖がもたらされる。著者らはこれに関して、高度な変化ではなく、より簡単な変化を起こすことにとどめるべきだと述べている。
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編集=木内涼子

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