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川村雄介の飛耳長目


沖縄の産業構造の特徴は、第三次産業の割合が高いことである。これを盤石なものに強化していくことに活路を見いだすべきではないのか。三次産業で沖縄の人々に有利に作用しているエピジェネティクスを使わない手はない。沖縄の強みである文化、芸能、エンターテインメントを基幹産業として育て上げることが効果的だ。

4年前、沖縄県は10年先を見越した『沖縄21世紀ビジョン基本計画』を公表した。ひときわ目を引くのは、「エンタメ性の文化を創造し、クリエイティブアイランド沖縄を形成」、「ショービジネス等の創出、コンテンツ産業の活性化」、「文化産業に必要な人材の育成を促進」といったフレーズが、分厚い基本計画の随所にちりばめられていることである。

例年、沖縄国際映画祭は40万人ほどの人で賑わう。沖縄の全人口の約3分の1に相当する人数だ。基本計画のエンタメ育成戦略はまさに正鵠(せいこく)を射ている。特に幼少期から、裾野が広いこの分野のスキルを育てていくことがそのキモになるだろう。

映画祭では、運営者である吉本興業から、近年中に沖縄に総合的なエンターテインメントの専門学校を開校する計画が明らかにされた。舞台、バラエティ、音楽、ダンスから、これらを支える舞台裏の技術者までを幅広く育成しようというプランだ。沖縄にマッチしたエンタメ産業は若者の雇用増大に威力を発揮するだろうし、関連産業の活性化や中高年の職場拡大にも資すると思う。

さらに沖縄を発信地として、アジアから広く世界に日本のソフトパワーを輸出し、インバウンドにも波及させられる。クールジャパン機構が大きな関心を寄せるのも当然である。

映画祭のクライマクスがレッドカーペット。見慣れないゆるキャラの周囲では、東京から駆け付けた法務省の大幹部たちが満面の笑みで歩を進めている。同省は人権擁護と犯罪更生を訴えているのだ。手を振り大歓声で応える群衆の姿は、それ自体がエンタメの風合いを漲らせている。超お堅いはずのお役所も、実に柔らかく周囲に溶け込んでいた。

こんなムードはほかの土地ではまず醸し出せない。やはり沖縄でしか発現しないエピジェネティクスなのだろう。

文 = 川村 雄介

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