故郷、熊本の支援を模索しながら感じたこと[小山薫堂の妄想浪費 Vol.12]

ガウディのサグラダ・ファミリアばりに長い時間をかけて修復されていく、復興のシンボル「熊本城」(illustration by Yusuke Saito)


また熊本観光のシンボル熊本城は、修復に10年以上、費用に最大200億円以上かかると言われている。そこで「熊本城サグラダ・ファミリア計画」を提案したい。アントニ・ガウディがバルセロナに建築したサグラダ・ファミリアは約150年をかけて完成に近づいているわけだが、同様に熊本城もつくりつづけること、つまり復興しつづける姿に価値を見出すというアイデアだ。

たとえば石積みは常に行われており、その作業を地元民や観光客が見守る。難しい修復作業を行う人が、子どもたちの憧れの職業になる……。ただ美しい形に戻すだけではなく、技術の保全や継承を含めた人材育成にも資金を投入し、熊本城自体を復興のシンボルにするのだ。

しかも今回は本丸の西北に立つ宇土櫓(うとやぐら)が、建物、石垣ともにほぼ無傷だった。400年前の築城技術がいかに素晴らしいかを物語る話だ。これを機に熊本城全体がオリジナルの技術で時間をかけて修復されていったら、私たちは本当の意味で失ったものを取り戻したと言えるかもしれない。

最後に熊本の皆さん、あらためて心よりお見舞い申し上げます。一緒にがんばるけん、熊本県!

イラストレーション=サイトウユウスケ

この記事は 「Forbes JAPAN No.24 2016年7月号(2016/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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