キャリア・教育

2016.07.02 17:30

ギャラリストが語るアートの楽しみと「本当の意味の投資」


日本も江戸時代には幕府や大名が絵師を召し抱えていたし、明治から昭和にかけてもいわゆる旦那衆が彼らの芸術を守っていましたが、バブル崩壊でまっさきにそのような徳の高い制度が失われてしまったのはとても残念です。

ただ、地方の美術館にはバブル崩壊以前に購入した海外の作品があって、その付加価値が上がってきている。たとえば2,000万円で買ったピカソはおそらく50億円くらいの価値になっているのではないでしょうか。

アートというのは、売ったらいけないんです。持ち続けるということが、すなわち資産。だから個人でもアート作品を買ってほしい。飾って楽しんで、飽きたら売ればいいし、お金が必要な時には換金もできます。でも、基本的には長く持ち続けた人のほうが資産になります。それが本当の意味の投資だと思いませんか?


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船戸与一の『満州国演義』や『新・雨月 戌辰戦役朧夜話』など。アジア各国で仕事があるので、意識的に日本の現代史を書物から学ぶようにしています。

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アメリカのドキュメンタリー映画「美術館を手玉にとった男」。30年にわたって多様なスタイルを駆使して贋作を制作し、資産家や神父を装って美術館を訪れ、慈善活動と称してそれらを寄贈していた“史上最も善意ある贋作者”の話で、非常に面白かった。

みずま・すえお◎東京都生まれ。成城大学卒業。80年代よりギャラリー活動を開始。94年、ミヅマアートギャラリーを東京・青山に開廊(現在は市谷田町)。アジアのマーケット発展のため、2012年にシンガポールMizuma Galleryを開廊。

構成=堀 香織

この記事は 「Forbes JAPAN No.24 2016年7月号(2016/05/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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