谷本:今回のプログラムが、日本のスタートアップを見る上で起爆剤になるでしょうか。
ユニス:プログラム自体がそうなるとは思いません。私は、日本でのスタートアップのエネルギーが高まっているのを感じています。同僚たちも日本での活動が毎年倍増していると言っていますし、スタートアップの件数も増えています。ワクワクするようなことが間違いなく起こりつつありますね。このプログラムがなくても、今はターニング・ポイントであると思います。1、2年で変遷をとげるでしょう。
谷本:一番期待していることを教えてください。
多名部:シリコンバレーの500 Startupsのスタッフたちがまとまって日本に来て、メンタリングやレクチャーをするというのは初めてのことです。何が生まれるのかわからないのですが、ワクワク感とドキドキ感があります。なんらかのイノベーションが起こり、新しいサービスや商品が生まれるのではないかと楽しみです。プログラムを発表したときだけでなく、その後も取材が相次いでいます。スタートアップのまちとして、神戸の認知度がさらに上がっていくことも期待しています。
谷本:日本では大企業が強すぎます。スタートアップを盛り上げる時に、大企業の役割は何でしょうか。
ユニス:日本だけでなく世界中で、大企業はその課題を抱えています。毎週、フォーチュン・トップ100企業が500 Startupsを訪れます。スタートアップ企業の重要さをわかり始めていまですね。スタートアップ企業は素早くアイデアを取り上げて実行でき、大企業よりもずっと迅速。大企業は、買収や競争するかわりに、スタートアップ企業とコラボしようとする大きな動向があります。三井住友銀行がこのプログラムを支援していますが、明らかに前向きな一歩で、エコシステムの創造に力を与えています。
谷本:日本人から、マーク・ザッカーバーグを生み出す方法はありますか。
ユニス:グローバルに、つまり世界規模で考えること。アメリカにおける起業家たちはグローバルに考えるのが得意です。たいていは、創始者は自分のいる地域のことを考えます。スタートアップはグローバルに世界中の人に役に立つアイデアを考える。
フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、アップルなどのグローバル企業はすべてシリコンバレーから出てきました。ビジネス・アイデアも世界の大きな人口に関連しているものを出します。シリコンバレーのあるメンターは、「10億(ビリオン)人の問題を解決すれば、必ずビリオネアになれる」と言っていました。もし1万人だけの問題を解決しようとするのなら、チャンスはそれに比べて小さいですよね。