ビジネス

2016.07.05

神戸から世界へ飛び出すスタートアップを! アクセラレーター・プログラムが始動

500 Startupsパートナーのザファー・ユニス氏(右)と神戸市 新産業創造担当課長の多名部重則氏(左)


谷本:選考の基準を教えてください。

ユニス: 第一の基準はチームです。チームが全力を傾けているか、熱意があるか、プロジェクトに必要なスキルや経験があるか。第二はプロダクトです。アイデアだけでなくプロダクトがあると、価値をもっと付け加えることができるし、より速くアクセラレーションが可能になります。第三の基準はすべての投資家が求めている技能と能力、事業の可能性、アイデアのインパクト、事業のインパクトなどです。

谷本:スタートアップに関しては、インド、シンガポール、中国などアジアの国々より日本は遅れていると感じます。実際、ザファーさんの目に日本のスタートアップはどう映りますか。

ユニス:私たちはとても大きなチャンスだと見ています。日本では、経済の規模と比べればエコシステムの規模はとても小さく、今後2、3年で大きく成長すると思います。
 
谷本:アクセラレーターとして、今、どのような事業、もしくはどういう可能性を持った企業に注目していますか。

ユニス:私たちは良いアイデア、良い起業家、良いチームにフォーカスするようにしています。産業については制限をしていません。人工知能、バーチャル・リアリティー、ロボティクス、IoT、フィンテックというトレンドはあります。しかし500 Startupsは応募するすべての会社を調べ、アイデアやチームなどを評価しています。アイデアとチームの両方がよければ、その会社を選びます。

谷本:日本のスタートアップはなかなかスケールしないと言われていますが、なぜなのでしょう。

ユニス:日本の市場は大きく、日本のスタートアップは賭けに出るために他の市場に出て行く必要がないので、国内に長くとどまっているのではないでしょうか。他の小さな国は他の市場に行く必要があり、世界に出ます。グローバルな機会は、ひとつの市場での機会に比べれば間違いなく大きいので、日本のスタートアップの創業者たちには、他の市場に出て行く必要がないにしても、より大きな機会を求めて動き始めて欲しいですね。

谷本:日本はリスクを嫌うため、スタートアップが育ちづらい文化があるように思います。日本でスタートアップを増やすためには、何をすべきでしょうか。

ユニス:良い質問ですね。私たちはたくさんの国際的なエコシステムに投資をしていますが、リスクを嫌うというのは日本だけの問題ではありません。他の国々でも、もっと言えばシリコンバレー以外のところでは、同様に、リスクを回避し、失敗を恐れます。ただ日本では、よりリスク回避型で失敗を受け入れない文化があるという感じがします。
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私たちが起業家たちに言うのは、「失敗してもいい」と言い聞かせる最重要人物は、他でもないあなたですよ、と。失敗を避けているとスタートアップは起きません。失敗しても大丈夫、やってみよう、と自分に言い聞かせてください。失敗してもやり続けるといつか成功するものです。世界中どこにおいても、失敗なしに成功するというのは稀。すごく成功している人たちに聞いても、多くの失敗を重ねています。

政府レベルでは、神戸市がやっていると思いますが、リスクをいとわない文化を育てることと、職員の合意をとること。起業家たちと一緒に仕事をしたり、このプログラムを実施することなど新しいことをしたりすれば、そのような文化が育つかと思います。
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構成=星野陽子 写真=藤井さおり

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