エアビーアンドビー、黒人差別問題で本格調査 外部アドバイザーも起用

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エアビーアンドビーの宿泊客に対する人種差別問題が深刻化している。同社は対策を強化するため、アメリカ自由人権協会のワシントンDC支部長を務めたローラ・マーフィーを外部アドバイザーに起用。90日間に及ぶ社内調査を実施することを発表した。マーフィーは黒人系新聞の「The AFRO-American Newspaper」に論説を寄稿し「しっかりと責任を負わせるつもりだ」と強い姿勢で臨むことを表明している。

ここ数か月で、エアビーアンドビーの宿泊者が人種を理由に宿泊を断られるケースが相次いでいる。25歳の黒人男性、グレゴリー・セルデンは、人種差別によっ て宿泊を拒否されたことに対しエアビーアンドビーを相手取り訴訟を起こした。また、シェービング用品のオンラインショップ「Wet Shave Club」創業者のローアン・ギルクスも、宿泊を拒否された自身の体験をMediumに投稿し話題になった。

黒人や性的マイノリティから抗議が噴出

ハーバード・ビジネススクールによる調査でも、エアビーアンドビーを利用して宿泊先を探すゲストは、名前からアフリカ系アメリカ人だとわかる場合は、白人と比較して、宿泊を許可される割合が低下することが示されている。差別対象となっているのは黒人だけではない。シャーディー・ペトスキーが、ホストに自身がトランスジェンダーである事を伝えたところ、宿泊を拒否されたという。

こうした事例に加え、エアビーアンドビーの利用規約にも非難が集まっている。条項の一つは、ユーザーが集団訴訟に加わる権利を放棄することを定めている。集団訴訟は企業による差別行為に対抗する上で最も有効な法的手段の一つとされている。

マーフィーは、エアビーアンドビーが個々のトラブルに場当たり的に対処するのではなく、大局的な見地に立って原因を究明する必要があるとし「第1ステップは、プラットフォームやテクノロジーの構造上の問題で差別が起きていないか確認をすることだ」と述べている。しかし、シェアリングエコノミーはその性質上、様々な差別が横行しているのが現実であり、その解決は容易ではない。

具体的解決策はあるのか?

マーフィーはまた「人種差別問題が起きた際には迅速かつ断固とした対応を取る必要がある」とし、エアビーアンドビーは苦情への対応で業界のロールモデルになるべきだと主張する。

エアビーアンドビーもマーフィーの考えに同調し、差別問題の廃絶に向けた同社の姿勢を強調した。「エアビーアンドビーで宿泊を予約しようとしたユーザーが、人種差別を受けたケースが報告されています。我々はこれらの問題を真摯に受け止めており、対策を講じるために社内調査を実施します。エアビーアンドビーはあらゆる差別を許しません」と広報責任者のニック・パパスは述べている。

エアビーアンドビーでグローバルポリシーの責任者を務めるクリス・レヘインとマーフィーは公民権運動の指導者たちと会い、差別に関する協議を行なう予定だ。しかし、具体的な施策がいつどのように実施され、差別問題の解消にどれだけ効果を発揮するかは不明だ。

編集=上田裕資

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