ビジネス

2016.06.30

ドイツ自動車大手3社が買収した地図情報サービス「ヒア」の大きな可能性

Adam Berry / gettyimages


コネクテッドモビリティの分野に進出する上でも、高精度な地図と位置情報データは不可欠だ。ヒアの親会社3社(アウディの親会社フォルクスワーゲン、BMWとダイムラー)をはじめフォードやゼネラル・モーターズなど自動車各社はどこも、カーシェアリングとライドシェアリングのサービスに巨額の投資を行っている。バイクシェアリングなどの代替モビリティサービスや、さまざまな交通手段を網羅する複合輸送の経路案内サービスも登場している。

ヒアではこの市場に大きなチャンスを見出しており、幅広いソースからのデータを蓄積することで「都市における移動性を実現するカヤック」になりたいとしている。同社はまた、消費者に包括的なモビリティサービス(ライドシェアリング、カーシェアリングから公共交通機関の情報提供・発券業務までのあらゆるサービス)へのアクセスを提供し、同時にモバイル機器メーカーからソーシャルメディア・プラットフォームまでの幅広いサービスプロバイダに「カスタム化された捕捉チャネル」を供給するという二役をこなす計画も立てている。さらに今後はインドアマッピング(屋内地図)やドローン向け地図の作製などの分野を研究することも示唆している。

直近の製品や製品としては、iOSやアンドロイド向けの新しいナビゲーションアプリや、都市の都会化が進むなか社会の異なるセグメントが複合輸送にどう反応するかの調査、ドライバーがどのように自動運転技術に移行していくかの理解を手助けする自動運転シミュレーター「ナイトライダー」などがある。

アウディなど3社がヒアに約30億ドルを投じたのは、主に自動運転技術の強化のためだった。だが同社や自動車業界がコネクテッドモビリティ分野に業務を拡大し、また同社のエザード・オーバービークCEOが「ロケーション・インデックス(位置情報の索引)」と称するものが大規模ビジネスに成長していくなか、その投資が大きな利益を生むことになるかもしれない。

編集=森 美歩

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