この時点でアルゼンチン代表から引退すれば、メッシは今夏開催のリオデジャネイロ五輪に出場しないことになる。FIFAワールドカップ(W杯)の2018年ロシア大会、2022年カタール大会にも出場しないということだ。アディダスにとっては、ブランド露出の絶好の機会を大きく失うことになる。
スポーツマーケティングに関するリサーチとコンサルティングを専門とするレピュコム(Repucom)によると、アディダスは20年以上にわたり、UEFA(欧州サッカー連盟)が開催する欧州選手権(ユーロ、EURO)の出場チームに装備一式を提供してきた。今年は全24チームのうち37%にあたる9チームが、アディダスが手掛けたユニフォームで試合に臨んでいる。
その他のスポンサーをみると、ナイキが6チーム(25%)、プーマが5チーム(21%)、その他が4チーム(17%)となっている。
さらに、アディダスは1996年大会以降、最も多くのチームとスポンサー契約を締結。過去5大会で優勝したチームすべてのスポンサーとなっており、それが同社の“サッカーチームのスポンサー”としての地位を固めることにつながってきた。
一方、アディダスは長年、スポーツ用品世界最大手のナイキと激しい競争を繰り広げている。メッシを擁するアルゼンチン代表チームとの契約が、その競争においても有利に働いてきたことは間違いない。2年ほど前には、アディダスはメッシがバルセロナからチェルシーに移籍するならば移籍金2億7,000万ドル(約275億円)の半額を負担すると申し出た。
報道によれば、バルセロナのスポンサーであるナイキをメッシから遠ざけるためだったとされている。この試みが成功することはなかったが、アディダスがどれほどメッシの寵愛を求めているかを示す例だといえる。