WSJはこの動きをリフトの新たな資金調達への動き、もしくは売却先の企業探しの動きではないかと伝えている。関係筋によると「カタリストは既に、大手自動車企業らにコンタクトをとり、リフトの株式取得に向けて提案を行なっている」という。リフトはこの件に関し、フォーブスへのコメントを拒否した。
リフトは今年1月に10億ドル(1016億円)を調達したが、それ以降もさらなる資金調達を試みることに不思議は無い。配車サービス業界では最近、巨額の資金調達が相次いでおり、ウーバーがサウジアラビアから35億ドル、中国の「滴滴出行(ディディチューシン)」が73億ドル(約7,600億円)をアップル等から調達している。
リフトは今年5月、フォーブスの取材に15億ドルのキャッシュを持っていると明かしていた。しかし、急激な市場の拡大や広告費の増加を考えれば、資金はいくらあっても足りない。リフトが身売りに踏み切るとしたらこれは注目すべき動きと言える。買収候補としてはどのような企業が挙げられるだろう。
買い手の筆頭候補はGM
最も理にかなった買い手と言えるのがゼネラル・モーターズ(GM)だ。GMは今年1月、リフトの株式の10%を5億ドルで取得し、取締役を派遣している。GMはテクノロジー領域に旺盛な買収意欲を見せており、3月には自動運転のCruise Automationを10億ドルで買収した。他にも昨年12月に閉鎖したサイドカー(Sidecar)の資産を買い取っている。
さらに、GMとリフトは戦略的パートナーシップを結び、自動運転テクノロジーやモビリティサービス、レンタカー分野での提携を進めている。しかし、GMが今、急いでリフトを買収する必要があるのかと問われれば答えはノーだ。リフトは短期的には莫大な赤字を抱えており、GMが急いで買収する理由は見当たらない。しかし、候補に挙がる企業の中ではGMは理想的な企業の一つだ。
フォルクスワーゲンやトヨタ、フィアットクライスラー、フォードらもGMと同様に配車サービス分野に投資を行っている。しかし、リフトに関してはGMが独占的なパートナーと見られている中で、他の自動車企業が興味を示すとは思えない。