シリコンバレー「スタートアップの姉」、アイデンティティという武器で国境も常識も超えて行け

シリコンバレーで女性起業家のためのアクセラレーター“Women’sStartupLab”を運営する堀江愛利 (写真=東海林美紀)


「愛利(堀江)は、シリコンバレーに深く入り込み、質の高いコネクションを築いていますが、長くシリコンバレーにいるために、自らの価値に気づいていません」

そう語るのは、サンブリッジグループCEOのアレン・マイナーだ。セールスフォース・ドットコムなどのベンチャー企業に投資し、日本での合弁会社の設立に貢献した人物としても知られるマイナーは、堀江に新しい可能性を感じている。「女性起業家と男性起業家では、その目的や直面する問題は異なります。愛利はそれを上手く見極め、プログラムに取り入れています」。毎年2月、サンブリッジでは大阪市の起業家支援プログラムの一環として、起業家をシリコンバレーに1週間滞在させている。中でも今年最も人気だったのは愛利のWSLで開催された半日のセッションだったという。それは、何度も「NO」と言われる状況下で、いかに自信を持ち続けるか、というプログラムだった。

「日本の起業家の挑戦はユニークで、その強みも独特です。日本人である愛利ならば、その個性と強みを生かしたプログラムを構成できるのではないかと思っています」(マイナー)

自分よりも経歴のある人は多くいる。しかしエコシステムを作りたい、と考える投資家は少ない。「私が繋ぎプラットホームになれば、技術や知識をもった人たちがそれを社会に還元できるかもしれない」そう語る堀江愛利と、志を持った日本の起業家たちが、アイデンティティを武器に国境を超え、イノベーションを加速させる日は近いのかもしれない。


1972年/広島県生まれ。内気な性格の小学生時代、母親からピンクのランドセルを買い与えられ「アイデンティティを持て」と教えられる。

1990年/17歳の時高校の交換留学プログラムで初渡米。カリフォルニア州立ポリエック大学ポモナ校でマーケティング、インターナショナルビジネスを専攻。

1994年/IBMに入社。退社後、Prio、Appean Technology、Quiosなどスタートアップ企業でマーケティングディレクターを務める。

2002年/長男が生まれ、自宅でビジネスをはじめる。06年に次男が生まれる。

2011年/第二外国語を学ぶ母親と子供のためのIT プラットホーム「MOCHIGO」を創業。

2013年/Women’s Startup Labを創業

2014年/CNNの「Visionary Women」10人のうちの1人に選ばれる

2015年/Honorees「The 40 Women To Watch Over 40」に選ばれる

文=岩坪文子

この記事は 「Forbes JAPAN No.14 2015年9月号(2015/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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