大人には理解できない画像アプリの黒船「ピクスアート」、日本展開加速

ウィルソン・クリーゲル(左)、ホバナス・アボヤン(右)/ photographs by Ramin Rahimian

インスタグラム等の画像共有アプリの人気が高まるなか、新たな黒船が上陸した。旧ソ連の辺境で生まれ、アメリカで大きく育った画像編集アプリ「ピクスアート(PicsArt)」だ。同社は日本市場でのオペレーション強化のため、今年4月に新たに2,000万ドル(約21億円)を調達。日本向けローカライズを加速させている。

「新しい画像アプリが今必要かと聞かれたら、世間の大人の大半は『要らない』と答えるでしょう。けれど、一見飽和したように見える市場でも、優れたプロダクトを投入し、適切なマーケティングを行えばナンバーワンを目指せるのです」
 
ピクスアートのCBO(最高ビジネス責任者)を務めるウィルソン・クリーゲルはそう語る。

世界で3億ダウンロード突破

ピクスアートは世界で2億5,000万ダウンロードを突破し、月間アクティブユーザー数は7,500万人を超える画像編集アプリ。日本でも10代を中心に支持を拡大中だ。サンフランシスコに本拠を置く同社は昨年フォーブスが選ぶ「最もホットなスタートアップ企業」に選出。クリーゲルの指揮下で世界展開を進め、昨年末には東京にも拠点を設けた。

同社の企業価値は2億5,000万ドル(約280億円)。資金調達額は4,500万ドル(約51億円)にのぼる。しかし、インスタグラムやLINEカメラなど、競合ひしめく日本市場で果たして勝算はあるのか。そんな問いかけに対する回答が冒頭の一言だった。

2月中旬、来日したクリーゲルは関係者とのミーティングを重ね、女子高生ユーザーらのグループインタビューも行った。

「ピクスアートのコアなユーザー層は14歳から24歳の女性。日本のユーザーはアプリに求める完成度が非常に高い。この市場で勝てれば、アジアのどこに行っても戦えます。現状の日本でのMAU(月間アクティブユーザー数)は200万人程度ですが、適切なマーケティングを行えばもっと増やせると確信しています」
次ページ > 旧ソ連の辺境が生んだグローバルアプリ

文=上田裕資

この記事は 「Forbes JAPAN No.23 2016年6月号(2016/04/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事