低価格を武器にカンボジア等の新興国へも進出
格安スマホ市場は東南アジアや中南米など新興国で急激に拡大しており、その影響もあって昨年の世界のスマホ出荷台数は前年に比べて約10%伸びた。フリーテルは既にカンボジア、チリ、ペルーへの展開を実現しており、間もなく新たにベトナム、ドバイ、中東に進出する予定だ。
一方で、中国とヨーロッパへの進出は今のところ予定していないという。「モトローラの中国事業を統括した経験から、中国でブランドを構築することの難しさをよく心得ている。我々は実現可能性の高い目標を掲げており、現段階で中国進出は考えていない」とチャップマンバンクスは話す。
フリーテルは「日本品質」を強く打ち出しているが、端末の製造は中国の工場で行っている。端末のデザインと部品の調達は日本で行っており、深圳の工場で日本人エキスパートが品質管理を行っている。今後は全ての工程を日本で行う予定で、1年後には実現する予定だという。
チャップマンバンクスは「今や中国と日本とではそれほどコストに差がない」と主張する。
「製造拠点を日本に移すことに関して、日本政府が様々な支援をしてくれている。また中国では人件費の高騰によって、日本とのコストの差は縮まっている。さらには、パナソニックが工場を閉鎖したため、日本には優秀な人材が余っている」とチャップマンバンクスは話す。
フリーテルは日本ブランドを掲げ、世界に羽ばたこうとしている。その姿はかつてのソニーやパナソニックなどのテクノロジー企業が大志を抱き、海外に出て行った姿と重なるようにも見える。