だが、いまや多くの人たちが、その価値と今後に疑問を呈している。それはなぜなのだろうか──?
職場環境が進化し、毎日のように新たなテクノロジーがもたらされるなかで、電子メールが変化を強いられるのも不思議なことではない。電子メールはこの先、消滅してしまうのではないかと考える人もいるだろう。だが、そうなるとは限らない。現時点で、メールの将来には次の3つの可能性が考えられる。
1. 排除
電子メールのないビジネスの世界など、存在不可能なように思える。しかし、世界中にはこれを実現しようと試みる企業も複数ある。こうした企業はほぼすべてが、まずクラウドベースの協調システムに移行し、それによって社内メールの使用をやめようとする。
協調システムを導入することで、従業員同士はバーチャルに会話をしたり、連絡を取ったり、連携して仕事を進めたりすることができる。
仏IT企業アトス(ATOS)は数年前に、社内での電子メールの使用を完全に取りやめることにした。世界各地に数千の従業員を擁する企業としては、かなり勇気ある行動だ。そして、同社CEOはこれを推し進めるため、幹部社員の会議の15%をこの問題に関する協議にあて、管理職数千人に研修を受けさせ、同じ目標を掲げる他社の500倍の金額を注ぎ込んだ。
その結果、同社は社内メールの60%削減を実現。営業利益を1%増やした。
2. 現状維持
社内の電子メール使用に関する方針を見直すというのは、一つの考え方だ。だが、従業員らは業務上、社外の人とも連絡を取る必要がある。そのためには、メール以上に適した方法はない。