その結果、ハードとソフトを一体で提供するモデルは崩壊し、アップルは端末だけを作るメーカーになってしまうかもしれない。また、様々なメーカーのデバイスをクラウド上で束ねる役割を担うこともできないだろう。
筆者は、アップルがクラウドを将来戦略の中心に据えることを願っている。それも、現状のようにアップルが使えるクラウドサービスを決めるのではなく、端末に依存することなくユーザーが好きなクラウドサービスを選べるようにしてもらいたい。
WWDCはアップルの新たなエコシステムを打ち出す絶好の機会だったが、実際にはハードウェア重視の姿勢を一層強める内容となった。これは、「ソフトはハードの販売拡大をサポートするためのだ」というアップルの従来の姿勢を踏襲したものだ。
アップルは、リスクを取って既存のビジネスモデルを破壊するのではなく、iPhoneの機能をわずかに強化して売り続ける道を選択したということだ。当面はそれで良いのかもしれないが、いつかは通用しなくなる日が訪れるだろう。