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2016.06.22

英EU離脱問題、M&A活動への影響は? 専門家らの見解

gemstock / shutterstock

企業の買収・合併(M&A)分野における機密情報の共有に関するサービスを提供する米イントラリンクスはこのほど、英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)に対するM&A専門家ら約1,500人の見解を調査、結果を公表した。

専門家らの多くは、英国のEUからの離脱が決定すれば、各国のM&A活動には大きな影響が及ぶと考えている。調査対象者の約65%は、欧州各国の資源が悪影響を受けると回答。このほか76%が「経済に悪影響を及ぼす」、67%が「欧州全域でのM&A活動にマイナスの影響を与える」と答えた。

6月23日に実施される英国の国民投票で直接的な影響を受ける回答者の間では、さらに厳しい見方が示された。英国と欧州・中東・アフリカ(EMEA)で事業を行う専門家のそれぞれ92%、87%が、経済への悪影響を懸念している。

また、欧州経済全体にも広範に及ぶ影響が出るとみられている。特に中国との取引に大きく依存しているドイツをはじめ、域内の主要経済への影響は大きいと指摘されている。

さらに、米国の専門家のうち74%は、影響は米経済にも波及すると考えている。米連邦準備制度理事会(FRB)は追加利上げについて、英国の国民投票の結果をみて判断する方針を示したところだ。そのほか、米国では以下の点が懸念されている。

・欧州域内でのM&Aに関連する税制の問題
・英国とEU加盟27か国の間の通商問題
・英国に進出している米金融サービス事業者の活動に対する影響
・貿易や安全保障その他、さまざまな問題に関する交渉の複雑化

こうした懸念の一方で、各国の専門家らの非常に多くが、国民投票の結果については同じ予想していることが分かった。回答者の80%が、英国がEUから離脱することはないとみている。ただし、投票の最終的な結果が公表されるまでは、いずれも通常どおりの業務を行うことは難しいとみられる。


編集 = 木内涼子

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