統合が実現すれば、テスラはイーロン・マスクCEOが思い描く「持続可能なエネルギーと電気自動車の生産を手掛ける企業」の実現に一歩近づくことになる。専門家を対象に金融・経済関連データを提供するファクトセット(FactSet)によると、ソーラーシティーの会長でもあるマスクは、同社株の22.2%を保有する。
テスラが自社ウェブサイト上で公開した文書によれば、買収が完了すれば同社は、クリーン・エネルギーの開発から販売までを一貫して手掛ける世界で唯一の垂直統合型の企業になる。同社の顧客は持続可能な太陽エネルギーによって効率的に自宅で使用する電気を調達、自動車に充電することができる。また、同時に電気代を削減し、化石燃料や送電設備への依存度を最低水準まで引き下げることが可能になるという。
テスラはまた、同社とマスクのいとこ、リンドン・ライブがCEOを務めるソーラーシティーは統合によって、それぞれの市場を拡大することができると説明。テスラが販売する家庭用蓄電池「パワーウォール(Powerwall)」の利用者とテスラ車の購入者はいずれも太陽エネルギーに高い関心を持つ人たちであり、一方の太陽エネルギーの利用者もまた、電気自動車と住宅での蓄電に関心があると述べている。
さらに、「企業の文化という側面からみて、最適の相手」「両社は共に使命として、持続可能性とイノベーションの実現、自社の前進における課題の克服を掲げている」という。
一方でマスクは、たとえこれらの指摘が的確であり、マスクとライブがいとこ同士であり、さらに両社が方向性を共有していたとしても、買収が実現する保証はないと明言している。マスクがライブCEOに宛てた書簡によれば、両社の取締役であるアントニオ・グラシアスとマスクは、この提案に関する取締役会の採決に加わらない考えだ。
買収計画の発表を受け、同日の時間外取引でソーラーシティーの株価は一時24%高、テスラの株価は9.7%安となった。