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成長企業倶楽部は、扱うテーマだけでなく参加者の多様性にも重点を置いている。それは成長企業倶楽部が、起業家やその支援者たちのネットワークを構築することを通じて、企業成長のエコシステム形成の場になることを意識しているからだ。

以下の図はKPMGジャパンが考える、企業成長に関するエコシステムの概念図だ。起業家の予備軍が創業し、スタートアップをはじめとした各成長段階を経て、レイターステージへとステップを進める。それらを支援するのがベンチャーキャピタル、大学、専門家、大企業などの役割だ。そしてIPOやM&Aといったエグジットの際には、支援者たちに利益が還元されるとともに、資金や人材がスピンオフし、起業家予備軍がふたたび形成され、サイクルが循環する。
kpmg

参加者の多様性は、前述の企業成長に必要なイノベーション促進という点でも不可欠だ。「1人の人、1つの企業からの視点では、モノの見え方に限界があります。たとえば、革新的な技術開発の達成だけでは新しいビジネスは生まれにくいでしょう。それより生活者にとって世の中がどう便利になるかといったマーケットの視点を加えることで、現状をブレークスルーできると思います」(轟氏)。

KPMGジャパンは、成長企業倶楽部のような場の提供を通じてエコシステム形成に寄与し、そのうえで、専門家として自らもそのエコシステムに参加するという姿勢だ。木下氏は「私たちは専門家としても、この循環する世界に積極的に関わっていきたい」と言い、さらに「全世界に拠点を持つKPMGグループのグローバルな情報網を活用してほしい」と話す。

また、運営については、一方的な受講型セミナーや単なる名刺交換に終わらない双方向型のディスカッションの場の提供を目指している。成長企業倶楽部は、懇親交流会でも活発な議論が交わされるのが特徴だ。「ディスカッションによってオープンイノベーションが実現すると思います」と轟氏はその意義を強調する。そして、成長企業に関わる人々のネットワーク強化という活動の狙いどおり、ここで出会い、新たなビジネスを立ち上げたという事例もすでにあるという。

昨年は、通常よりも大規模な成長企業倶楽部「成長ビジネスの祭典2015夏」を開催した。成長企業倶楽部は「顔が見える会にしたい」という趣旨から、通常は30~40名ほどが参加するセミクローズド(紹介ベース)の集まりだが、この祭典はそれまでの活動の集大成という位置づけのオープンなイベントだ。

早稲田大学大学院商学研究科ビジネススクールの長谷川博和教授による基調講演に加えて、成長ビジネスをそのサポーターが紹介するというかたちで発表の場を設けた。「単なるサービス紹介やマッチングの場ではなく、たとえば大企業とベンチャーがこのような方法で連携をしているんだ、といった気づきを提供する場にしたかった」(倉田氏)というのがその理由だ。

例えばアドバゲームサービスを展開しているiKEMUと花王、青森のモノづくり企業のコアラインとそれを支援するKAPIONなど、ユニークな組み合わせの7 組が登壇している。ネットワーク懇親会も開かれ、集まった200名弱の参加者による活発な議論が交わされた。 

文=小林麻理

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