自動運転車をめぐる11社の事業戦略〜自動車メーカー編〜

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自動運転車は急速に新たな事業戦略の“実験場”となりつつあり、自動車業界とテック企業の“出会いの場”ともなっている。そこで今回は、台頭しつつある幾つかの競合の事業戦略に注目。テック企業と自動車メーカー、それぞれの戦略を紹介する。

なおリストはオープンで、ある意味で恣意的であり、必ずしも同部門に進出している全ての企業を含むものではないことを注記しておく。自動車メーカーの動きはいかに?

トヨタ

長い間、自動運転車の開発には消極的だったトヨタだが、今では自動運転に関する特許を競合他社の2倍以上にあたる1,400も所有する。ドライバーが誤った判断を下した時や事故を起こしそうな時に、車が自ら自動で操作を行うという“守護天使”のような位置づけでの研究開発を追求しているようだ。

フォルクスワーゲン

世界3位の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、競合他社に先駆けて自動運転車の開発を行い、2020年までに実用化、2025年までに市場投入を行うとしている。目標は「年間100万人の命を救う」ことで、ドイツ、米カリフォルニア州と中国の3か所にグループフューチャーセンターを建設予定だ。

だが現実はそれに追いついていないようだ。2015年1月にはアウディA7をベースとしたコンセプトカーでの試験走行を行ったが、3~5年以内に試作品から実際の生産に移るという目算通りには行かず、競合他社に遅れをとることになりそうだ。

フォード

自動運転車の分野におけるリーダーであるフォードは、グーグルの構想を支持し、2020年までの実用化に焦点を当てるようになった。今後も自動運転機能の開発を段階的に進めていく考えだが、人が運転するマニュアルモードのオプションもつける予定だ。

開発の取り組みは、子会社フォード・スマート・モビリティを通じてフォード・フュージョン・ハイブリッドに集中。最近では試験車両を3倍に増やし、その数は業界最大となった。また、レーザーを利用して周りの状況を把握する“LiDAR”技術で大きな進展を遂げ、暗闇での自動運転テストにも成功したことを発表した。ミシガン大学にある実験施設エムシティで試験走行を始めた初の企業であり、現在はカリフォルニア、アリゾナ、ミシガンで試験走行を展開している。

ペンシルベニア州では配車サービスのウーバーが、フォードのフュージョン・ハイブリッドを使った試験走行を行っているが、フォード側はウーバーとの提携関係を否定。「ウーバーが独自にフォード・フュージョン・ハイブリッドを使った試験を行うことを選んだものだ」としている。
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編集=森 美歩

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