総額55億ドル(約5740億円)を投じ建設された上海ディズニーランドでは、カリフォルニアやフロリダのディズニーランドとほぼ同様の体験が可能だ。客たちはピーターパンと空を飛ぶことが出来るし、像のダンボもアメリカのディズニーランドと変わらない。
しかし、ディズニーによると上海ディズニーの施設の8割は中国向けにカスタマイズされたものだという。東京ディズニーランドを除くディズニーランドにつきものの「メインストリートUSA」は無く、代わりに「ミッキー・アベニュー」が設置されている。また、アメリカではお馴染みの2つのアトラクションが「中国人には刺激が強すぎる」といった理由で上海ディズニーは存在しない。下記にその2つを挙げる。
1. ホーンテッド・マンション
中国人の特に年配層は幽霊の存在を信じている。近親者の霊は敬意を持って付き合えば、困った時に助けてくれると信じられている。幽霊たちは年に一ヶ月、現実世界に舞い戻って暮らし、見分けがつかないので注意が必要だ。中国文化圏で幽霊が子供向け書籍に登場することはまれだ。幽霊屋敷の中を駆け巡るホーンテッドマンションは中国人らが楽しめるものでは無いのだ。このアトラクションは実際、中国人には恐ろしすぎる。
2. アリスのティーパーティー
米国ではマッド・ティー・パーティと呼ばれるこのアトラクションは、巨大なティーカップの中に乗り込んで、自在な動きを楽しむもの。これも中国では不適切な乗り物であるとされ、上海ディズニーには存在しない。
中国で茶は国民的飲み物であり、そのたしなみ方は厳粛なマナーにのっとって行なわれるべきと考える人もいる。米国企業が巨大なティーカップの乗り物を設置し、その中に人を載せる行為は彼らの文化に対する侮辱と受け止められる可能性もある。公式サイトによると「上海ディズニーランド向けに、蜂蜜を入れたカップが特別につくられ、同様なファンタジーを体験できるようにした」という。