アップルWWDCで見えた、今年の「勝ち組」「負け組」

Photo by Justin Sullivan/Getty Images

アップルはWWDC(世界開発者会議)でiOSとmacOS、watchOS、tvOSのアップデートを発表した。開発者にはすでに公開されており、公開ベータテストの開始は7月以降となる。最終版は8~9月に発表されることになるだろう。例年に比べてパッとしない会議だったように思えるが、アップルの最新の発表によって生まれた勝ち組と負け組を以下に挙げる。

勝ち組
・アプリ開発者:ロイヤリティがこれまで70%だったのが85%に引き上げられるほか、Siriやマップなどが開放される。
・フィットネスオタク:アップルウォッチの起動速度がアップしたほか、アクティビティを友人と比較できるなど新機能が盛り込まれた。
・デジタル小売業:ウェブショッピングでアップルペイが利用可能に。
・子供プログラマー:iPadでプログラミングを簡単に学べるSwift Playgroundが発表された。
・データ企業:新APIにより様々なデータを取得できるため、特に位置情報サービスを提供するYextなどの企業が恩恵を受けるだろう。
・中国:アップルウォッチに英語と中国語のみ対応の機能が追加され、中国の配車アプリ最大手「滴滴出行(ディディチューシン)」への出資も最近発表するなど、アップルは最近中国に力を入れている。
・メディア:アップルニュースの有料会員向けコンテンツや、動画再生が可能なロック画面における通知機能を有効活用できそうだ。
・旅行サービス:新APIによりアプリにブッキング機能の追加が可能に(例えばレストランアプリからウーバーに配車を要請するなど)。
・個人情報を取り扱う機関や政府機関:アップルはプライバシーの保護に力を入れることを強調。
・VoIP企業:VoIP用のAPIが発表された。
・ライブテレビ視聴者:アップルTVのリモコンが改善しチャンネルも増えた。
・メッセージ愛好者:絵文字が充実。
・ブランドマネージャー:ロック画面における通知機能が強化され、ブランドの売り込みに活用できそうだ。

負け組
・ドロップボックス:iCloudでユーザーを限定してデータを共有できるようになり、クラウドストレージ系企業にとっての脅威に。
・腕時計型フィットネス端末:アップルウォッチの機能強化により溝を開けられた。
・パブリッシャー:アップルニュースの購読者は6,000万人と発表されたが、グーグルニュースの方が人気だろう。
・ペイパル:ウェブサイトやモバイルサイトで利用できるアップルペイは強敵だ。
・Swift以外の言語:Swiftを使用した子供向けのプログラミング教育を提供することで、Swiftの使い手が増える。
・迷惑電話発信者:迷惑電話を自動で判別する機能が付いた。
・ソーシャル雑誌アプリのフリップボード:アップルニュースの強化により厳しい状況に。
・写真アプリ開発者:アップル独自の写真アプリに撮影場所を地図で確認できる機能や顔認識機能などの人気機能がデフォルトで備わる。
・アップルのアプリ:削除できるようになった。
・音楽配信サービス:アップルミュージックが機能の簡略化と強化を図った。

最後に
スナップチャットにインスパイアされたようなアップデートはあったが、スナップチャットと真っ向勝負するような機能は搭載しなかった。いつか、アップルがスナップチャットに買収を持ちかける日が来るのかもしれない。

編集=上田裕資

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