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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

Galushko Sergey / shutterstock

現代に暮らす僕たちは、手首に時計をつけて、出かけるときに持ち歩く。あるいはタブレットや紙の手帳を持ち歩き、時の流れを確かめつつ、行動の予定をたて、フレーミングしてゆく。

原始的な生物にも体内時計がインストールされていて、昼夜や季節のリズムに合わせて生存を図っていることは知られているが、このように時を意識的に正確に計測し、それにあわせて社会生活を営む生物といえば、今のところ地球上には人類しかいないだろう。逆説的に言えば人類を人類たらしめているのは、鮮明な時間意識であるといっても過言ではないのである。

では、デジタルなタブレットはおろか機械式時計もなかった時代、人類はどのようにして「時を見張って」いたのか。

水時計や砂時計はもちろんあった。そして、もっとも古く、かつ原始的な装置としてのカレンダーや時計の一つは、天体の動きだったのだ。前回お話ししたように、現在は星占いの代名詞として用いられている「ホロスコープ」という言葉は、もともと「地平線から昇る星を見張る」という意味を持っていた。また、「カレンダー」という言葉は、本来、新月の最初の光が出ることを意味した。日本語の「一日」(ついたち)は、ツキタチ(月が立つ)という意味であったと考えられるのと同じである。

自然界のなかでもっとも正確なサイクルをもつのは天体であり、その中でとりわけ目立つのは、月の満ち欠けであった。正確な時間間隔で月が満ち欠けを永遠に繰り返していることを最初に知った僕たちの遥かな祖先は、その神秘にいかに驚き、畏敬の念を感じたことだろう。

しかるに文字が発明されるはるか前、石器時代の人々は月の運行周期を記録し、それを利用していたことも知られている。

たとえば、今から3万年近く前にフランスのドルトーニュ地方に住んでいた古人類が残した骨片。片手にちょうど収まる大きさのこの骨片には勾玉のような奇妙なしるしが69個、蛇行するようにつけられていた。単なる模様だと考えられていたこのパターンが月の満ち欠けであることを見抜いたのは、考古学者アレクサンダー・マーシャックであった。そして、イタリアやスペインでもまたこのような様式の月の満ち欠けの記録が発見されるに至り、これが最古のポータブルな「カレンダー」であることが確かめられたのである。

想像するに、狩猟採集社会の時代、男たちはこのハンディな「カレンダー」をもち、居留地を離れた狩りの旅の途中、月を見上げては愛しい人や子どもに思いを馳せていたのだろう。ちょうど、僕たちが海外出張のときに暦や時計を見て我が家に帰る日のことを想うように……。

文=Forbes JAPAN編集部

 

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