利益を20~30%増の勢いで伸ばしてきたリンクトインにとって、今回の決定は同社が抱える大きな問題、「気まぐれな株式市場の投資家たち」の問題を解決するものだ。リンクトインの決算や業績見通しは、その他の多くの大手テクノロジー系企業の好調な時期のそれに匹敵するものだが、それでも同社の成長ぶりに不満な投資家たちは今年に入り、同社株を“投げ捨てて”きた。
投資家たちをそれほど不安にさせたのは、リンクトインの何だったのだろうか? 会計の問題、経営の混乱、業績、他社との競争? ──いずれも投資先として、問題になるような状況ではなかった。
彼らにとってのリンクトインの問題は、2015年第4四半期のオンライン広告の売上高が20%の増加にとどまったこと、売上高が“わずか”34%しか伸びなかったことだ。それ以前と比べ、売上高の伸び率が半減したこと、そして2016年通期の売上高が25%増と予想されたことを嫌気した。市場の反応は素早く、そして残酷だった。
長期的な視点を欠く投資家たち
およそ4か月にわたって低迷したリンクトインの株価は、200ドルの水準にまで戻している。マイクロソフトによる同社の買収が示すのは、株式市場の投資家たちの考えが誤っていたということだ。今年2月に株価が下落した時点で両社は、合併・買収(M&A)に関する真剣な協議を行っていた。ウェイナーとホフマンがそろって「近視眼的な株式市場の投資家たちに疲れた」と思っていたとしても、誰が彼らを責められるだろうか?
一方、今年に入り、株価が一時的に低迷したのはリンクトインだけではない。急速な成長を続けるその他の多くのテクノロジー企業も同様に、利益の伸び率やガイダンスが予想を下回り株価が急落。市場にパニックを起こした。
これらの企業の多くは、リンクトインと同じ道をたどっている。長期的な価値と成長の見込みを評価してくれる安定的なパートナーとの提携を希望し、株式市場を捨てているのだ。