マネー

2016.06.16

まずは乱読で「市況」と「手法」の蓄積を[海外不動産投資術 第2回]

海外不動産投資のメリットをお伝えした前回に続き、今回は海外の不動産投資をするにあたって、具体的に何から始めればよいのかをお話ししたいと思います。国内外の不動産投資を問わず、まず30冊くらいの不動産投資に関する本を読むことをおすすめしています。

書店で眺めて気になった本でも、レビューを参考に選んだ本でもかまいません。直感で選んだ本をどんどん読んでみてください。難しい内容でよくわからなくても気にする必要はありません。様々な不動産投資の本を読んでいくことで、その分野の専門用語に慣れ、ベースとなる知識を増やします。

ある程度、日本の不動産投資について理解が深まったら、興味がある国の不動産投資の本も是非読んでみてください。海外の不動産投資といっても特定の投資手法があるわけではありません。本質的な意味で、国内も海外も不動産投資は同じです。NOI(営業純利益)やIRR(内部収益率)といった投資指標も世界共通です。今は電子書籍などで海外の出版物も入手しやすくなっています。

また、投資先とは関係ない国の不動産投資の本も参考になります。特に欧米の不動産投資の手法やテクニックが他の国に広がっていくことが多いのでヒントになることもあります。最近話題になっている民泊などもその典型的な例といえます

さらに、日本国内の不動産投資について理解しているからこそ見えてくる海外のチャンスもあります。例えば、マレーシアでは今、首都のクアラルンプールと隣国のシンガポールを結ぶ高速鉄道の計画があり、今後様々な変化が出てきます。日本の新幹線の開発によって、駅の周辺の不動産がどのように変化したかなどを調べることで、現地の人が気づかないチャンスを見つけられるかもしれません。

本を読むことで、不動産投資の知識や手法が徐々に身についていきますが、実は私が乱読をすすめるのは、そういった表面的なテクニックを知ることよりも大切な二つの理由があるからなのです。

ひとつ目は、「何を知るべきなのかをわかるようにする」ためです。ベースとなる知識ができあがっていないと、いざ不動産投資を始めようと思ったときに、専門家や業者に聞くべき質問がわからないことになります。本の乱読によってベースの知識ができあがれば、何の情報が欠けているのか、何を知る必要があるのかがわかってきます。

海外での不動産投資では、ルールが異なるため、専門家に確認しないとわからないことも多くあります。例えば、日本では建物の減価償却費は損金に算入されますが、マレーシアでは基本的に認められません。こういったことも、減価償却という概念を理解しているから確認できるのです。

日本ではあり得ないことでも、その国の常識だった場合、こちらが尋ねるまで教えてくれなかったりしますので、念のために確認してみるという姿勢が大事です。
次ページ > 自分にあった投資手法を見つける

文=當麻 智

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事