五感に訴えるプレゼンテーション、ビル・ゲイツ流「人の心を動かす方法」

ビル・ゲイツ(Photo by Ida Mae Astute/ABC via Getty Images)


まずは関心を引くこと

ゲイツと妻のメリンダは、たぐいまれなコミュニケーション能力を持った人たちだ。多くのリーダーたちも、聴衆との関係の築き方について二人から学ぶことができる。

ゲイツのこうした手法は、コミュニケーション理論において「期待違反理論」と呼ばれるものだ。人間の脳は、活動するのに大量のエネルギーを必要とする。そのため、毎日同じことを繰り返すことによって少しでもエネルギーを節約しようとする。

コミュニケーションに長けた人は、脳をそうした通常のパターンから外させることによって、聴衆の関心を引き付ける。研究者らは、これを「期待違反理論」と呼ぶ。簡単に言えば、私たちは常に一定の行動を「期待」している。情報の伝達も、予測し得る方法で行われるものだと考えている。だが、ゲイツは何度もその期待を裏切る。聴衆が無視できなくなるような形で、ゲイツはそのような言動を繰り返している。

次々と共有可能なコンテンツが送り出され続けるこの時代に、ゲイツはツイッターで拡散したくなるようなパフォーマンスを提供する。私たちの目を引き付けることで、意識の中にも入り込むのだ。人間の脳は、“新規性”を無視することができない。

パフォーマンスをするときには、聴衆に何か目新しいものを提供しよう。珍しく、新鮮で、予想外の何かだ。そうすれば、関心を引き付けることができるだろう。

消費行動や心理の解明に脳科学に関する知見を応用するニューロマーケティングを研究するカリフォルニア大学バークレー校のA. K. プラディ―プ博士によれば、「私たちの脳は何か素晴らしいもの、新しいもの、傑出したものを探すように訓練されている」。

物事を創造的に考え、普段とは違ったやり方で何かを行ってみよう。人の考え方を変えたいのなら、まずは関心を引く必要がある。

編集=木内涼子

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