そういったダジャレのポテンシャルに着目。イノベーションを生み出すためにダジャレを用いる手法を「ダジャレノベーション」と名付けて、企業の新商品開発やワークショップなどで実践しています。先日は、YCAM(山口情報芸術センター)研究員の津田和俊さん、アートディレクターの江波戸李生さんとともに、「ダジャレシピ」と題して新しい料理を考えるワークショップを開催しました。大学生から50代まで、様々な世代の男女20名が参加。パズルになったポテト「ポテトリス」や、いろんな素材を一緒に揚げた「十羽一唐揚げ」など、70を超える新しい料理が誕生しました。
白熱する会場を眺めながら、ダジャレはアイデアに飛躍とキャッチーさをあたえてくれるものなんだと再認識。今回は料理がテーマでしたが、新商品開発はもちろんのこと、新しいテクノロジーの活用法を考えるとき、世の中にひとこと物申すとき、言いにくいことを伝えるときなど、ダジャレノベーションが活躍するシーンはまだまだありそうです。そして何より印象的だったのは、参加者の楽しそうな姿。日本中の打ち合わせがあんな雰囲気になったとしたら……。会社も、世の中も、人生も、もっと楽しくなるだろうなと、そんな可能性を感じました。
ちなみにワークショップに合わせて江波戸さんがつくってくれたダジャレノベーションのロゴマークは、駄という字が「駄馬」に由来することから着想したもので、太い馬の形をしています。この駄馬というのは、荷物を運ぶための太い馬だったんだとか。荷物を運んでくれる有益な馬ということですね。そう考えると駄洒落も駄目な洒落ではなく、有益な洒落だといえるはず。洒落たことは無理でも、駄洒落なら気兼ねなくいえる。楽しみながらアイデアを出し合うことで、新しい市場までできてしまう。そんな有益さを、ダジャレは備えているはずです。
一説によると、年をとると記憶力は弱まるけれど、ものごとを関連づけて考える脳の力は増すといいます。だからおじさんになるとみんなダジャレを言いたがる(思いついてしまう)らしい。ならばダジャレの価値が高まれば、若者だけではなく年齢高めの世代が活躍できる社会になるはず。そうすればこれからの日本はもっと面白くなるんじゃないか。
sharing economyもいいけれど、shareing economy(シャレによる経済活性)っていうのも、あるんじゃないかと。冗談みたいな話ではありますが、割と本気でそう思っています。
電通総研Bチーム◎電通総研内でひっそりと活動を続けていたクリエイティブシンクタンク。「好奇心ファースト」を合言葉に、社内外の特任リサーチャー25人がそれぞれの得意分野を1人1ジャンル常にリサーチ。各種プロジェクトを支援している。平均年齢32.8歳。
鳥巣智行◎電通総研Bチーム所属。クリエーティブ/コピーライター。SoftBank「Pepper」の会話システムや、森永製菓「おかしな自由研究」の商品開発を行う。「ダジャレノベーション」や「マジックワードカード」など、新しいアイデアのつくりかたを研究・開発中。