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電通総研内のクリエイティブシンクタンクによる連載「NEW CONCEPT採集」

イラストレーション=尾黒ケンジ

受験シーズンにコンビニの菓子棚を見てほしい。御利益に溢れたネーミングの数々。単なるダジャレを超えて、「願掛けマーケット」が確立されている。ダジャレとは言葉の結合であり、ここから新しい市場が生まれるのだ。

ダジャレ発想法というとForbes JAPAN読者のみなさんには、本質的ではないといわれてしまいそうです。しかしながらジェームス・W・ヤングは著書『アイデアのつくり方』の中で、「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせでしかない」と語っています。その観点でいえば、異なる意味の言葉を組み合わせて生まれたダジャレは、まさにアイデアそのもの。しかも生まれた時点でキャッチーさを備えたアイデアになっているといえるでしょう。

またイノベーションの父といわれるシュンペーターは『経済発展の理論』の中で、「イノベーションとは新結合である」と定義しています。その観点でいえばダジャレは言葉の新結合ですから、イノベーションの一種ととらえることもできそうです。

事実、ダジャレを使った成功事例は世の中にたくさんあります。例えば受験シーズンに盛り上がる願掛けお菓子の数々。カールが「ウカール」を出したのが始まりだといわれていますが、それに続いたキットカットの「きっと勝つ」受験応援施策でさらなる広がりをみせました。

いまやCanael Corn(Caramel Corn)やToppa(Toppo)など、各社が願掛けお菓子市場に参入しています。ダジャレが一市場を築いているといっても過言ではないでしょう。お菓子だけではありません。最近何かと話題の地方創生。お金が潤沢にあるわけではないぶん知恵が必要とされる地域の課題に、ダジャレが効くという事例もあります。

例えば青森県鶴田町の、頭の薄い人たちが集まって結成した「ツル多はげます会」。この会が主催する「ハゲ頭で世の中を明るく照らそう」という趣旨の「中秋の有多毛(うたげ=宴)」は日本全国のみならず海外のメディアでも取り上げられ、名物イベントになっています。「毛がないからけがしない」ということで交通安全運動に展開したり、他地域と連携して「全国ひかりサミット」を共催したり。全体的にダジャレばかりのこのチャーミングな取り組みは、鶴田町のPRとして効果的なだけではなく、地域の結束を深めるイベントにもなっているようです。

一方、鳥取県。2014年当時、日本で唯一スタバがなかった鳥取県の知事が「スタバはないけど、日本一のスナバはある。」と発言し、「すなば珈琲」の誕生につながりました。スタバが鳥取にオープンする際に「米系コーヒー店のレシートを見せたら半額」といったキャンペーンが話題になっていたのを記憶しているかたも多いのではないでしょうか。

知事のダジャレ発言がきっかけとなったこの騒動で、スターバックスシャミネ鳥取店はオープン初日、売り上げ全国1位を記録。すなば珈琲も来店客が5倍という結果に。現在すなば珈琲は3店舗に拡大しています。ダジャレは元手がかからないため、地域活性施策としても、うまく使えば効果的だといえそうです。

文=鳥巣智行

 

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