シャオミとマイクロソフトは今週、提携を発表した。シャオミのスマホにはマイクロソフトのソフトウェアが搭載され、マイクロソフトの特許1,500件がシャオミに売却される。マイクロソフトのソフトは9月以降に搭載される予定。シャオミはクロスライセンス契約により1,000件の特許も使用可能になる。
設立6年目のシャオミは海外事業を拡張するため特許ポートフォリオを広げている。同社はすでに中国、ブラジル、インドを含む新興国市場において人気を博しており、2015年は7,000万台を売り上げたが目標の1億台には届いていなかった。
ユーザーへの直販が小米の強みだが……
一方で同社は各国で特許侵害の訴訟を抱えている。2014年にエリクソンが無線技術の特許を侵害したとしてシャオミを訴えた裁判では、インドにおいてシャオミの一部のモデルが販売中止に追い込まれた。
シャオミによると、同社は2015年に中国などで3,700件の特許を申請した。2014年は2,000件だった。モバイル担当の上級副社長の王翔は「我々は特許が難しいものであると認識し、努力しています」と認めたと報道されている。
だが、アメリカ進出を狙っているのならば、問題になるのは特許だけではない。シャオミは中国などでフラッシュセール(期間限定で特典を付けて売る方法)を用い、ネットを通じて消費者に直接スマホを販売しているが、アメリカでは多くの消費者がキャリアを通じて携帯電話を購入しており、シャオミの従来のビジネスモデルと大きく異なる。
シャオミが自らのビジネスモデルを直ちに変えるとは考えにくい。アメリカの大手キャリアはメーカーから携帯電話を大量購入する代わりに、大幅な値引きを要求するため、キャリアとタイアップすれば利益が大きく減ることになる。
シャオミは同社から直接スマホを購入するアメリカ人が増えることに期待するしかないと考えるのが妥当だろう。実はインドでもシャオミが参入した2014年には携帯電話をメーカーから直接購入する消費者はわずか10%だった。しかし、調査会社Counterpoint Research によると、その後の2016年の1~3月期には33%にまで増加しているのだ。
ただし、アメリカのキャリアと提携しない場合、シャオミは知名度をほとんど上げられないという問題に直面する。インターネット統計会社Statistaによると、500億ドル(約5兆3,300億円)を超えているアメリカのスマホ市場では、販売台数の40%をiPhoneが占めている。
中国におけるスマホの販売台数が2015年に前年比2.5%増と停滞しているうえ、新規参入メーカーとの競争激化に直面しているシャオミは、家電などの電化製品にも参入し始めた。アメリカでもスマホ以外の商品の販売を進める方針で、アンドロイドTVセットトップボックス「Mi Box」を販売するほか、既に中国で発売を開始した460ドル(約5万円)のドローンも米国に上陸するとの噂が飛び交っている。
シャオミ国際事業部門の統括責任者ヒューゴ・バラはCNETとのインタビューで、「いつアメリカに本格進出するのか」との質問に、具体的な時期への言及は避けた。
「アメリカの市場は全くの別ものです。参入の時は自然に訪れるでしょう。ただし今年ではありません」