企業価値は2年間で半分まで急落
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたところによると、LINEは7月にIPOを予定しており、調達する資金は20~30億ドルになる見通しだという。時価総額は50億ドル(約5350億円)程度と見られているが、これは2年前にIPOを計画した際の評価の半額に過ぎない。LINEは2014年に東京証券取引所に株式上場を申請し、時価総額は1兆円規模と見られていた。しかし、その後同社は事業の成長を優先させることを理由に上場を延期していた。
一体どうしてこれほどまで評価が下落したのだろうか。LINEはWeChatと同様、多目的に利用できるプラットフォームを作り上げることに成功した。それでもLINEは新規ユーザーの獲得に苦戦しており、WSJによるとこの1年間でわずか1,300万人しか増やせていないという。これに対し、フェイスブックメッセンジャーは2015年3月からの1年間で3億人という恐るべき数の新規ユーザーを獲得した。成長率の格差は20倍以上に及んでいる。
一方でLINEの売上高は順調に成長しており、2015年Q4のLINE事業単体の売上高は300億円と、2014年Q1から倍増している。それでもLINEの評価が大幅に下落したことは、投資家が将来成長性を測る上で売上高よりもユーザー数を重視していることを如実に示している。
LINEユーザーは日本、台湾、タイの3国のみ
LINEは日本、台湾、タイでは独占的な地位を確保しているが、他の国ではワッツアップやメッセンジャーの後塵を拝している。調査会社GlobalWebIndexのシニアアナリストであるジェーソン・マンダーによると、アジアには中国のWeChat、韓国のカカオトーク、ブラックベリーメッセンジャー、インドのHike、ベトナムのZaloなど多くの競合がひしめいており、市場のリーダーになるのは容易ではないという。