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2016.06.08

プリンスは依存症患者たちを救えるか──その死から学べること

Prince photo by Kevin Mazur / gettyimages


診察が依存症のきっかけに

プリンスの悲劇的な死は私たちに、鎮痛剤依存症やそれに苦しむ人たちの治療法を見直す必要性を、改めて知らせてくれたといえる。自らの誤った選択によって依存症になる人もいる一方で、多くの人たちは医師が処方した鎮痛剤をきっかけに、依存症になっているのだ。

友人たちによれば、プリンスは『パープルレイン』のツアーの頃から股関節の痛みを抱えていた。5月上旬に発行された捜索令状からは、ミネソタ州のマイケル・トッド・シュレンバーグ医師が前月7日と20日に、プリンスを診察。「医薬品」を処方していたことが分かっている。

米国では毎日、処方されたオピオイド系鎮痛剤の誤った使用によって1,000人以上が救急外来に運びこまれ、治療を受けている。これらの薬を乱用している、または依存症であると判断された人は2014年、200万人近くに達した。

鎮痛剤依存の問題に取り組むスティーブ・ラムラー・ホープ基金の創設者は、「尊敬されるミュージシャンだったプリンスは、飲酒の習慣もなかったとされ、信仰心の厚い人だったとみられる。その死は、過剰摂取に対する汚名を拭いさる助けになるだろう」と語る。

「過失による過剰摂取とそれによる死は、人生に失敗し、落ちぶれた人だけに起きるものではないことを証明している」

プリンスはその功績によって記憶され、高く評価されるだろう。だが、米国には「薬物依存症」「ジャンキー」のレッテルを貼られ、誰にも気づかれないまま同じように命を落とす数千人の人たちがいる。大スターの死は私たちに、依存症はそれに陥る人を選ばないということを改めて教えくれる。そして私たちは、そのことを学ばなくてはならない。

編集 = 木内涼子

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