苦戦の米ドローンメーカー3D Robotics 企業向け市場にシフト

Photo by Lester Cohen/Getty Images for WIRED

2009年の創業以来、大手VCによる多額の調達資金に後押しされ、注目のドローン市場で急成長を遂げたドローンメーカー大手の米3D Robotics(3DR)は、今年3月、事業再編の目的で人員削減計画を発表した。そしてこの程、米証券取引委員会(SEC)に新たに提出された書類から、同社が更に総額4,500万ドル(約48億円)を資金調達する方針であることが明らかになった。

この提出書類によると、3DRは資金調達の目的で4500万ドル相当の自社株を売却する計画だが、今のところ売却額は2,670万ドル(約28億5,000万円)に留まっている。資金調達の目標額を達成するには、まだ1,830万ドル(約19億5,000万円)相当の自社株を売却する必要がある。

CEOは元WIRED編集長のクリス・アンダーソン

米調査会社PitchBookの資料によると、昨年実施されたシリーズCの投資ラウンドで、3DRは総額1億600万ドル(約113億円)を資金調達。この時点で同社の時価総額は3億3400万ドル(約355億7,000万円)だった。

VCから順調に資金を集め業績を伸ばして来た3DRだが、最近になっていくつかの課題に直面している。昨年は共同創設者ジョルディ・ムノスが同社を去り、今年3月には人員削減にも踏み切っている。共同創設者でCEOのクリス・アンダーソンは、金融情報サイトMarketWatchの取材に対し、競争が激化する消費者向け市場から、利益率の高い企業向け市場へシフトする方針を明らかにした。

3DRが昨年、1,000ドルで発売した一般ユーザー向けドローン「Solo」は、まずまずの評価を得ているが、中国のDJIを相手に苦戦を強いられている。マーケットリサーチ大手NPDグループによると、現在北米のドローン市場では、DJIのシェアが半分を占めるのに対し、3DRのシェアはわずか7%に過ぎない。

先頃DJIが発売した1,399ドルで発売した新製品「Phantom 4」は、ビジュアルトラッキングやスポーツモードなど各種センサー機能と処理能力を備え、あらゆる障害物を察知して衝突を未然に防ぐことも出来る。

また、中国のシャオミ(Xiaomi、小米科技)もドローン市場に参入。先月(5月25日)同社の「Mi Drone」は、4K動画撮影可能で値段はわずか460ドルだ。競争が激化する中で3DRの業務市場向けへの転進は果たしてどういう成果をもたらすのか。今後の動向を注視したい。

編集=上田裕資

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