繰り返しになるが、まだ人間を対象とした研究は行われていないため、さしあたって今回の研究結果は注意喚起にとどまる。だがこうした研究は今回が初めてではなく、過去の研究でもオピオイドが大手術の後の慢性的な痛みを長期化させることが示唆されている。
もしも今回の研究結果が事実であれば、処方薬のオピオイド鎮痛薬の使用による悪循環の理由解明に一役買うことになる。これらの薬は表面的な痛みは紛らわせるが、その下で患者が痛みを体験する期間を長引かせ、それによって薬を摂取する期間を長引かせているのかもしれない。オピオイド中毒は比較的短期間の使用でも引き起こされる可能性がある。このことはこの薬の効果が、過去15年間、増え続けている鎮痛剤中毒の一因となっている可能性を示している。次のフェーズの研究は要注目だ。
今回の研究報告は、米国科学アカデミーの機関誌Proceedings of the National Academy of Sciencesに掲載された。