キャリア・教育

2016.06.10 17:00

「子育てしながら議員を続けるのはおかしなことですか?」産休明け、金子めぐみ議員が語る(前編)


産休の申請も出していないうちから、「いつまでも休んでいいですよ」と言われたんです。「いつまでも」ということは、帰ってこなくていいということ。帰る場所はないんだ、と愕然としました。あのときは本当に悔しくて、思い出すだけで今でも涙が出てきます。

国の制度を作っている立法府がこうした考え方のままでは、日本の少子化は絶対に止まらないと強く危機感をもっています。

当時就いていたポストからも外れてしまいましたが、「まだ産休に入っているわけではないので、国会も地元活動もさせていただきます」と言うのが精一杯でした。ケースとしては知っていましたが、民間の離職を促された方々も、本当に悔しい思いをしているんだろうなと実感しましたね。

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金子めぐみ議員(左)と谷本有香 フォーブス ジャパンWEB編集長(左)

谷本:しかし、そんな悔しさをどこにもぶつけることができなかった?

金子:イライラしていることが赤ちゃんに伝わってはいけないと思うと、何もできないんですよね。大きいお腹を抱えた私に、怒鳴りつける方もいました。

「私はまだ産休届を出していないので、働きます」という態度が面白くなかったのか、偉い先生のお付きの方に怒鳴られたんですよ。「お前らバカども2人のせいで、迷惑しているんだよ!」と。

谷本:ただ、宮崎さんの育休宣言は確かに議論に一石を投じました。

金子:宮崎の件では、みなさまに大変ご迷惑をおかけしたと申し訳なく思っています。彼の行為は男性の育休を応援してくださった方々への大きな裏切りでしたし、反省すべきです。

その上で、男性の育休取得はやはり重要な政策だと私は思っています。私は地方議員の頃から、共働き世代で男性も育児休暇を取得できるようにしなければ、女性の社会進出はなかなか進まないと考えていました。必ずしも全ての男性が育休をとって育児に参加しなければならない、というつもりはありません。しかし、育休を取得したいと思っている人たちが取りやすい環境を作っていくことは、これからの社会において必要なことではないでしょうか?

宮崎が育休宣言することで、そういう機運を盛り上げたかったんですが、結果的に今回のような形になってしまい、本当に残念です。私としては、今後も男女がともに子育てに参加でき、社会で活躍することもできるよう、法整備や啓発の面で尽力していきたいと思っています。

金子恵美(かねこ・めぐみ)◎1978年新潟市南区(旧月潟村)生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、株式会社新潟放送に入社。新潟市議、新潟県議を経て、2012年総選挙で初当選、現在2期目(新潟4区)。衆議院総務委員会、消費者問題に関する特別委員会所属。自民党地方創生実行統合本部本部長補佐、女性局副局長などを務める。

構成=筒井智子、写真=藤井さおり

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