地図サービスを提供するスタートアップ企業「Mapbox」は、自動運転時代の到来に大きなビジネスチャンスを見出している。同社は、自動車メーカーと提携して車載インフォテイメントシステムや自動走行システムと同社の新製品「Mapbox Drive」を連携させようと考えている。
現在、2千以上のアプリがMapboxの地図データベースを利用しており、大手顧客にはフォースクエアやマップクエスト、ウェザードットコムなどが含まれる。Mapboxは130万人のユーザーから集めた緯度・経度やタイムスタンプのデータを元に、地図情報の蓄積・更新を行っている。
データの「鮮度」が他社に無い強み
Mapboxが競合するのは、「HERE」(独大手自動車メーカー3社がノキアから買収)や「トムトム」といった大手地図サービスだ。これら2社はMapboxとは異なり、多額の投資をして大量の専用車両を走らせて地図を作成している。グーグルも自社の自動運転車を走行させるために、自前で地図データを隅々まで網羅しようとしている。
これらの企業に比べると、Mapboxの地図作製プロセスはそれほど厳格ではない。ユーザーの携帯電話から収集したGPSデータを利用するため、精度では競合サービスに劣るかもしれないが、「常に最新データにアップデートされている点が他社にはない強み」と同社は胸を張る。また、価格が圧倒的に安いこともMapboxの大きな魅力だ。同社によると、先週だけで1億マイル分の地図データを遠隔計測により収集し、夏の終わりまでには週間2億マイルのデータを収集できるようになるという。
Mapboxは、既に自動車メーカーとパートナーシップを結び、車両に地図を提供する取組みを進めていることを明らかにした。詳細は年内に発表するという。今後は、提携メーカーの車両に搭載されたカメラから得られるデータを使い、地図の品質を向上していくという。