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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

Radu Bercan / Shutterstock.com

新しいレコードを買って帰ってきた時のこの上ない幸福感。特定の年齢の読者なら、説明は無用だろう。針を落とす瞬間がたまらない。もう少し若い読者だったら、新しいCDを買って帰った時を思い出して同じ懐かしさを感じるだろう。どちらの場合も、セロファンを剥がすとワクワクとドキドキが待っていた。

その一連のシナリオを、レコード定期便サービスの「Keepers Vinyl Record Club(KVRC)」が蘇らせている。KVRCは、毎月ゲストキュレーターが選んだレコードを自宅に届けてくれるサービス。レコードには、担当キュレーターによるメモが書かれた冊子も添えられている。

気が利いているのは、キュレーターたち自身がミュージシャンであるため、学識ある洞察を提供しているところだ。たとえば、ジャムバンドWidespread Panicのメンバーでベースプレーヤーのデーブ・スクールズは、ミート・パペッツの1985年のアルバム「アップ・オン・ザ・サン」の複雑なベースについての知識を披露している。

創業者のマット・デカンプにKVRC創業のきっかけを尋ねると、彼は、両親のアナログレコード・コレクションを受け継ぎ、レコード・プレーヤーを買ったこと、他のレコード・クラブには満足できなかったことなどを語った。「まったくのよそ者が音楽を選んでいる」ことに、何かが欠けているような感覚を抱いたという。

およそ1年前、流通の仕事の経験を生かして、デカンプはKVRCを立ち上げた。レコード会社から直接、あるいは代理店を通してレコードを購入する流れについては、十分な知識があった。原盤からの複製という、よりリスキーな分野についても研究した。

キュレーター集めは知り合いから始め、最初は自分の好みを参考にした。そこで発見したのは、キュレーターが他のキュレーターにお薦め情報を提供すること。まさに、かつてレコード人気に火をつけた口コミ効果だ。KVRCの成長も、口コミ(今の時代はフェイスブックやインスタグラム)が加速させてくれることを期待している。

編集=森 美歩

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