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カリスマファンドマネージャー「投資の作法」


セブン-イレブンの件も、背景にサード・ポイントという「物言う投資家」の存在が見え隠れしている。社長人事が密室の中で決まり、それを受け入れるのが従来の常識だったが、その常識こそが変わりつつある。実際の内容は個別に見ていく必要があるが、社長人事が議論されたりすることはおおいに結構なことで、このようなケースはどんどん増えていくだろう。

セブン&アイ・ホールディングス(セブン-イレブンの持ち株会社)の場合は、鈴木会長の記者会見で、ある意味、会社の内実が白日のもとにさらされた。

手続き論としてのガバナンスは最高に理解されておられるけれども、記者会見での全般的な印象としてはこの稀代の経営者においてすら、話している内容が子どもじみていて、その取り巻きの古参の人達も、自分たちが何を言っているのかよく理解できないまま「正当性」を語っているのに驚いた。

この記者会見の内容は、伝えた方が世間様の理解を得られると思ったのだろうけれども、あまりにステレオタイプの言い方で使いたくはないが、“老害”の一言に尽きる。

この記者会見の白眉は、後藤光男顧問が井阪隆一社長のお父様のところに行って、息子が社長をやめるように説得を試みるところ。後藤顧問は80代である。その80代の顧問が上場企業の社長、それも流通業のトップ企業であるセブン-イレブンの社長の父親(おそらく80代)を訪ね、社長をやめるように促すというのは驚天動地である。

そりゃ、井阪社長も怒るだろう。それで怒って電話をしたら、後藤顧問は「大変けんか腰の電話でしたから驚きました。今にして思えば、『お前酔ってるんじゃないよな』とひと言、言えばよかった」と会見で言う。

うーん、これはすごい。お前酔っているのか、じゃない。酔ってないから怒っているのだろう。

そして、井阪社長が「自分ももう60歳間近で、自分のことは自分で決めます。父親は既にもうろくしております」と言ったそうだ。日本にとって経営者としての「成人」は60歳なのか。おそらく全文英訳されてしまうと思うが、また笑われてしまう……。

文=藤野英人

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