ウッドワード・アベニュー沿いに開いた同店は、広さ2万平方フィート(約1,860平方メートル)を誇る大型店。資産家のダン・ギルバートやマイケル・イリッチなどによって再開発が進められ、MLBタイガースの本拠地コメリカ・パークやNHLレッドウィングスの本拠地ジョー・ルイス・アリーナからも近いこのエリアに新店舗をオープンすることで、ナイキはデトロイト中心部の再活性化を図りたい考えだ。これまではこの地区において、中心地から35マイル(約55km)離れた場所にアウトレット店があるのみだった。
「店舗開設のタイミングと実行可能性、経済的側面を検討する際には、今後期待される成長や交通量、人口動態の推移に着目している」と、同社のグローバルDTC(消費者直販)を率いるクリスティアーナ・シーは言う。「その上で、デトロイトに出店する時期が来たと考えた」
新店舗はコミュニティストアという位置づけで、同社に売上と収益をもたらすほかにも幾つかの重要な役割を果たすことになる。デトロイト中心部で雇用を創出し、さらには地元の学校と関係を築いたり、従業員が積極的にボランティア活動を展開したりすることで周辺地域の再生にも貢献したい考えだ。ほかにも市民の生活に直結したスポーツ振興を図り、周辺地域やミシガン州全域で、多くのプロおよび大学スポーツチームとの関係を築いていく構えだ。
ナイキは80年代に、本社のあるオレゴン州ポートランドにコミュニティストア第1号店をオープン。ほかにもこの数年の間に、ロサンゼルス東部、シカゴ南部、ニューオーリンズ、ブルックリンのフラットブッシュ地区、首都ワシントンDCのアイビーシティといった、景気悪化にあえぐ都市部にコミュニティストアをオープンしてきた。
それらの店舗では、従業員の少なくとも80%以上、できる限り100%近くを店舗から半径5マイル(約8キロ)以内で雇うべく試みている。今回の場合、半径5マイルの範囲がデトロイトの市境を越えることはないため、地元で雇った従業員に給与を支払うことで確実にデトロイト市民を経済的に後押しすることになる。